2020 Fiscal Year Annual Research Report
創発現象を捉えるための逆シミュレーションによる学習コミュニティ分析手法の構築
Project/Area Number |
20H01725
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
多川 孝央 九州大学, 情報基盤研究開発センター, 准教授 (70304764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 仁 群馬大学, 数理データ科学教育研究センター, 准教授 (70232551)
安武 公一 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 准教授 (80263664)
山川 修 福井県立大学, 学術教養センター, 教授 (90230325)
隅谷 孝洋 広島大学, 情報メディア教育研究センター, 教授 (90231381)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 学習コミュニティ / ウェアラブルセンサ / シミュレーション / 社会性と情動についての学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は本研究の重大な仮説である学習者間の相互作用と、その基盤となる心理的な安定状態を把握する手段としてのウェアラブルセンサの運用についての検討を行った。この中心となったのは自律神経系の働きを心拍間隔の変動で把握し、これが対象者のその時点での緊張あるいはリラックスの状態と、長期的な傾向を理解することに利用できるという考えである。複数名の学生に学習環境でスマートウォッチを着用させ内蔵するセンサで心拍変動の状態を把握し可視化することで、実際に学生の緊張・リラックスの状態を把握しまた個人差のあることを確認することが出来た。また、この方法をもとにして対象者の心的特性を改善するSEL(Socical and Emotional Learning、社会性と情動の学習)に応用するという構想が得られ、新たに研究グループを構成し、教育システム情報学会全国大会では「SEL(Social and Emotional Learning)の高等教育への適用」という企画セッションで発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は学習コミュニティに対して(1)教育実践をもとにしてアンケートやセンサデータをもとにシミュレーションのためのモデルを構築する(2)教育実践の場でセンサ等からデータを収集し、これをシミュレーションモデルにあてはめることにより実際のコミュニティをモデルの中のパラメータとして把握・分析可能にする 以上のことを実現しようとしている。しかし、2020年度は新型コロナウイルスの影響によりこれらの中核のひとつである教育実践の場でのデータ収集を十分に行うことが出来ず、データ収集システムの試験的な利用にとどまった。また研究代表者・分担者ともに各所属大学でコロナウイルス対応の業務で多忙となったために上記の範囲を越えて研究を進めることが出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度以降において、シミュレーションモデルの検討と構築を中心に研究計画を再検討する。2021年度にはウェアラブルセンサからの実データの収集を行うことが十分に出来ず、モデル構築にフィードバックを行うことが出来なかったが、シミュレーションに必要な計算機の準備およびデータ収集のための体制の協議を研究組織内で行うことは出来たため、これらの準備の上に当初予定していた計画を実施する予定である。
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