2020 Fiscal Year Annual Research Report
一見矛盾する事実から真実を導き出す能力を育む協調学習環境の開発と実践的評価
Project/Area Number |
20H01729
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
望月 俊男 専修大学, ネットワーク情報学部, 准教授 (50379468)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 悦司 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (00324898)
鈴木 栄幸 茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (20323199)
舟生 日出男 創価大学, 教育学部, 教授 (20344830)
大島 純 静岡大学, 情報学部, 教授 (70281722)
加藤 浩 放送大学, 教養学部, 教授 (80332146)
大浦 弘樹 東京理科大学, 教育支援機構, 准教授 (90466871)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | CSCL / 認識的認知 / 認識的足場かけ / グラフィックオーガナイザー / 複数情報の統合 / 協調的推論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、複数の矛盾する事実の産出プロセスを、汎用的に使える認識的規準を用いて適切に評価する能力の獲得を支援する協調学習環境を実現し、実践的に評価することを目的とする。 本研究では、複数の情報に現れる事実の統合的評価を行って真実を導く能力を、協調的にグラフィック・オーガナイザーを作成し事実を吟味する学習活動を通して、育成することを目指して、令和2年度の事業としては、以下のような研究活動を行った。 1. 国内外で最新の知見を収集しつつ、2016-18挑戦的萌芽研究で収集したデータ分析の結果を深く追究し、学習者が複数の矛盾した情報から一貫したストーリーを作り、真実を導き出すモデルを検討した。この研究の成果は、教育情報システム学会誌の解説論文(招待論文)として採録された。 2. 効果的に認識的規準を働かせて推論し、矛盾する事実を適切に評価する支援として、epistemic scaffolds(認識的足場かけ)となるグラフィックオーガナイザーを設計した。Webブラウザを通してユーザが互いに同期的に協調して、複数の矛盾する情報を分析するツールのプロトタイプを開発した。その試行的評価の結果、改善が必要と判断されたものの、一定の効果が見いだされた。この成果は、日本教育工学会全国大会のほか、International Society of the Learning Sciencesの年会に採録され、発表し、様々な意見交換を行った。 3. さらなる改善を行い実用に足る協調学習環境(CSCL)に必要な技術調査および耐用試験等を行った。その結果、Google Firebaseをプラットフォームとした協調学習環境を実現することが有効と判断された。管理ツールなど、実用に向けて具体的に必要な機能などを精選した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で目標とする協調学習環境の実現に向けたプロトタイピング及び技術調査は順調に行われ、また、プロトタイプによる試行的評価の結果は、課題が見いだされたものの、非常に良好なものとなった。その成果は国際会議の発表に採択されるなど、予想よりもかなりよい成果が得られた。また、協調学習支援システム開発において大きな障壁になる問題も生じておらず、順調に推移していると判断している。しかし、新型コロナウイルス感染症の蔓延のため、多くの学生に対して同時に評価研究をするような授業実践等を行うことは非常に困難で、Zoomを用いて協調活動を記録・評価することになった。この方法は会話の内容をすべて記録することができて有用な反面、多くの学習者を対象とした研究データを迅速に得ることが難しい状態になっている。このようなことから、おおむね順調に進展しているという判断を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
Zoomベースで協調学習の様子を記録してミクロレベルで学習者の協調的推論の過程を分析できることは、研究上優位な点もある反面、作業量が飛躍的に増加してしまう。成果を予定通り出していくためには、スピードが求められることから、国際共同研究相手のラトガース大学のクラーク・チン教授と相談のもと、どのように推進することが望ましいかを議論しているところである。また、国際会議等での発表と密な議論を、世界の学術コミュニティと行うことが困難であったことから、新型コロナウイルス感染症の感染蔓延状況等の様子をみて、可能な限り発表・出版等の機会を模索していきたいと考えている。
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Research Products
(19 results)