2021 Fiscal Year Annual Research Report
Improving on diagnosis and developing a new screening test of Autism Spectrum Disorder
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20H01759
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
若林 明雄 千葉大学, 大学院人文科学研究院, 名誉教授 (30175062)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 栄司 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (00292699)
大渓 俊幸 千葉大学, 総合安全衛生管理機構, 教授 (60456118)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自閉症スペクトラム障害(ASD) / 自閉症スペクトラム障害診断 / 自閉症スペクトラム指数(AQ) / 社会的認知 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該繰越予算の使用目的は,本研究計画の一環として2021年度に実施する予定であった光トポグラフィー(NIRS)による脳皮質血流測定を伴う個別実験が,COVID-19 感染再拡大の影響で実験参加者が予定数に達しなかったため延期されていた一部の実験について,2022年度に繰り越して実施したものである。 当該実験は,大学生を対象に,知能検査,パーソナリティ検査を事前に実施し,実験室では,NIRS測定用の頭部電極を装着した上で,PCによる認知課題に回答してもらうというものである。頭部電極の装着と,実験課題実施前の皮質血流状態測定記録状況の確認に,1人当たり平均15分程度掛かるため,個別実験で1名約1時間を要した。今回の追加実験では,約50名が実験に参加した。 なお,最終的なデータ分析の前に,実験実施時期による測定データへの影響がないかどうかを検討したが,2021年度中に測定したデータと,今回追加で測定したデータ自体について,測定時期による差異は認められず,両者をまとめて集計分析することに問題はないと判断した。今回追加で実施した実験データを2021年度中に実施したデータと合わせて集計分析した結果等の詳細については,研究成果報告書に記載する。 今回追加でも実施した認知課題遂行中の脳皮質血流状態の測定では,ASD者(ASDの診断を受けている者)と非ASD者(一般大学生)では,特に視線などの社会的刺激が提示された場合の血流が増加する部位に,一定の差異が確認されたことから,社会的状況での脳機能がASD診断の手がかりとなることが示唆されたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19 感染再拡大の影響による実験の一部繰越分の実施であり,それについては完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
ASDの増加が近年報告されているが,ASDに対する関心の増加等による診断数の増加を背景とした表面的な増加である可能性もあり,この点について,研究者の 研究室が所有するAQのデータベースを利用してASD傾向の経年変化を確認する。 また,COVID-19の感染状況も落ちついてきたため,若干の遅れが生じていた実験室でのNIRSを使用した個別実験を積極的に推進し,所定の目的数のデータ収集 を行う。 NIRSによる皮質血流状態測定時に行う認知課題の種類によって,診断の手がかりとなり得る皮質の活動部位に違いがあるが,その「課題ー皮質部位関連性」の個 人差が大きいため,測定データの組み合わせが膨大であることも含め,解析には時間がかかっているが,新年度に引き続き実験を継続するとともに,ASD傾向の程 度と,課題ー皮質関連部位の対応関係について多変量解析手法などの多次元解析を適用することで,診断法の最適解を求める。
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