2021 Fiscal Year Annual Research Report
Research on the developmental process of social cognition based on understanding similarities between self and others: A longitudinal study in the first nine years of life
Project/Area Number |
20H01762
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
實藤 和佳子 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (60551752)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 知靖 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (30251614)
遠藤 利彦 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (90242106)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 社会的認知 / 縦断研究 / 発達 / 類似性理解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では9歳までの社会的認知及び関連要因の発達的変化とその個人差を追跡し、生じる臨床的問題との関連も含めて、社会的認知発達過程について縦断的かつ実証的に解明することを目的としている。 2021年度は、とくに他者とのやり取り・関係性における他者の心(意図など)の読み取りについて焦点を当て、検討をおこなった。私たちは幼少期から他者とのやり取りの中で様々な行動を模倣するが、成人になっても起きやすい模倣の対象の一つに儀式的行為がある。儀式的行為の中にはどのような意味・意図を持って当該行為がなされるのか、その背景が分かりにくい行為も含まれることから、goal demotionとの関連について指摘されてきた。Goal demotionとは、当該行為を行為者がなぜおこなったのか、その理由や動機が理解・推測できないことを指す。今回、goal demotionを引き出す要因として、最終ゴールとは無関連である行為の提示順番を操作した。例えば、行為の最終ゴール前におこなわれる行為はゴールと関連づけることができるが、最終ゴールの後の行為はゴール自体がすでに達成されているため、ゴールとの関連を推測することができない。このため、最終ゴールが達成された後におこなわれた行為の場合は行為者がなぜそれをしたのかについて推測できず、その行為をすること自体を目的の一つ(儀式的行為の一つ)として考え、模倣する可能性がある。そこで、最終ゴールとは無関連な行為をゴールの前 (before条件)かゴールの後(after条件)に提示したところ、ゴールの前よりゴールの後に無関連な行為が提示された場合により模倣が観察された。この結果から、一連の行為の中に他者の意図が読み取りにくい行為が含まれるとき、幼児は儀式的な行為の一つとして模倣した可能性について明らかにした。これらの知見は論文で公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度より実施し始めたオンライン調査や質問紙を用いた調査によって対面調査が難しいケースのデータを得ることができており、今年度は年度初めから対象者の状況に応じて調査を実施することができている。現在までの研究の進捗状況はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後もオンラインや質問紙などの対面形式以外の方法でデータを収集する方法を選択肢として準備し、感染状況や対象児者の状況を考慮しつつデータを収集できるように進めていく予定である。
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