2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of word learning based on estimation of others' intended actions: An extension of social pragmatic approach
Project/Area Number |
20H01763
|
Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
小林 春美 東京電機大学, 理工学部, 特定教授 (60333530)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋弥 和秀 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (20324593)
安田 哲也 東京電機大学, 理工学部, 研究員 (90727413)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | わざわざ行う行為 / 他者の意図 / 指さし / 視線方向 / お節介行動 / 協調原理 |
Outline of Annual Research Achievements |
人が「わざわざ行う」行為(複数の異なる方法がある中であえて労力のかかる方法で行う行為)であることを理解することにより実験者の指示意図を推測する能力を調べるため、3つの研究を行った。 特徴ある指さしについて、2歳半児、4歳半児、成人を参加者とし、実験者が事物に指さしを行い、「これはナットです」と提示した。事物はボルトにナットが嵌ったものとし、実験者はナットの部分に人さし指で軽く触れる指さしをする場合と、人さし指の先を小さく(直径0.5cm程度)旋回させて指さしをした場合とを比較した。結果、人さし指の先を旋回させて指さしをした場合は、最も年少の2歳半児であっても行為に特別な意図を読み取り、事物の全体(ボルト全体)でなく事物の部分(ナットの部分)が指示されたと解釈することがわかった。わざわざ行う行為から単純な指さしとは異なる意図を読み取ったと考えられる。成果をジャーナルへ投稿し、論文化の努力を開始した。 視線シフトについて、実験者の視線方向の変化がことばの意味推測に影響を与えるかを調べた。意図的に視線を聞き手の顔から事物へシフトすることで、ことばの意味推測が精緻化することが見いだされた。こちらについても論文化の努力を開始した。 お節介な行動の理解について、小学生を対象とした実験刺激を組み込んだ「お節介認識iPadの実験」を行った。実験刺激を組み込んだiPadマニュアル等とともに一式、協力家庭に送付し、保護者の方に実験者の役割をお願いして実施した。Griceの協調原理を拡張し、向社会行動における「量の公準違反」として捉えた「お節介」に対するネガティブな評価が、受け手の消極的反応がなんらかのかたちで表明されている場合には5歳児期から、そうでない場合は9歳児期までに発達的に増加することが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウイルス感染症拡大防止のため対面実験が全般的に難しく、特に実験対象者が子どもの場合、対面実験は不可能であった。そこでいくつかの方策を取って研究を進めた。 幼児の研究では、計画していた幼稚園でのデータ収集について、実験をオンラインで行うことも検討したが、大人の行為を「わざわざ行っている」と認識することはパソコンの映像からのみ認識するのは難しいと結論せざるを得なかった。そこで、指示行動解釈に関する既存の幼児のデータを分析し、論文化することに注力した。 加えて、非対面調査のシステムも新たに構築した。発達研究においても世界的にオンライン調査が増加しているが、ご協力いただくご家庭によって刺激の視聴環境や通信状態にばらつきが大きいという問題点は否めない。これらのアーティファクトを可能な限り小さくする試みとして、一方、小学生を対象とした実験方法の開発と構築に努めた。わざわざ行う行動の解釈を調べるために、実験刺激を組み込んだ「お節介認識iPadの実験を行った。実験刺激を組み込んだiPadマニュアル等とともに一式、協力家庭に送付し、保護者の方に実験者の役割をお願いして実施した上で結果とともに返送いただくという調査システムを構築した。5-9歳児の家庭を対象に「”お節介”理解の発達過程」に焦点を当てた調査をこの手法で実施し、データ収集を実施している。
|
Strategy for Future Research Activity |
もし感染症の収束がなされるならば、対面実験を全面的に再開し、データを収集し分析して発表活動を行っていく。対面実験再開が難しい場合はオンラインで実施できるものや開発したiPadを使った家庭での実験を中心にリソースを振り向け、できる範囲で研究を進展させていく。 既存データの分析成果を発表するために国内外の学会および学術誌に投稿を行っていく。 オンラインでの反応時間計測が可能なプラットフォーム”Gorilla”をもちいた調査を、成人を対象に予備的に開始したい。対面実験再開の有無に関わらず、遠隔実験の技術的検討も進め、技術的検討・方法の開発を進める。
|
Research Products
(12 results)