2021 Fiscal Year Annual Research Report
新タイプ抑うつとひきこもりに関する心理学及び精神医学的前向き研究
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20H01773
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
坂本 真士 日本大学, 文理学部, 教授 (20316912)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 隆弘 九州大学, 大学病院, 講師 (70546465)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 心理学 / 精神医学 / 抑うつ / ひきこもり / バイオマーカー / 会社員 / 適応 / 新型うつ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も、引き続き新型コロナウイルス感染症拡大のため、昨年度の研究計画を引き継いで研究実施した。心理学研究(坂本班)では以下の研究を行った。 1)令和2年度から開始した縦断調査(第1シリーズ)については、本年度は3-5回目の調査を実施した。すなわち、令和3年3月に就職先が内定している大学4年生に1回目の調査を行い、対人過敏傾向・自己優先志向尺度を含む質問票を実施した(昨年度)。本年度は、5-7月にかけて1ヶ月おきに3回調査を実施し(2-4回目)、さらに令和4年3月にも同様の調査を実施した(5回目)。 2)第2シリーズとして、同様の調査を本年度も実施した(令和4年3月に1回目の調査実施)。 3)対人過敏傾向・自己優先志向には合わせて6つの特徴がある。対人過敏傾向・自己優先志向をもつ人は、他者との間で軋轢を起こすと考えられるが、6つの特徴のうち、どれが特に問題となりやすいか、ケースビネットを使った研究を行った(大学生を対象)。 4)この研究は、精神医学研究(加藤班)と密に意見交換しながら行った共同研究である。コロナ禍で対人接触が制限されていることから、現在無職となっている人が外出する機会がなく、長期のひきこもりに移行する可能性があり、そこに個人差として対人過敏傾向・自己優先志向が関わる可能性もあることから、令和4年3月から対人過敏傾向・自己優先志向尺度および、過去1ヵ月間のひきこもり状態を測定する尺度を用いたインターネットによる調査を始めた。 精神医学研究(加藤班)では、インターネットを利用した成人を対象とした調査を実施しており、ひきこもり傾向と新型コロナウイルス感染症との影響を調べるために、令和4年6月と12月の2つの時点でのデータ解析を始めた。他方、九州大学病院の専門外来において、うつ病患者および健常者から各種抑うつ指標に加えて採血を行い、一般生化学検査等を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
心理学研究(坂本班)では、依然として、新型コロナウイルス感染症による影響は続いているため、インターネットを利用した調査方法に頼ることになった。令和3年3月から実施している縦断調査は、初回は1178人から回答を得、令和4年3月に実施した5回目の調査でも247人から回答を得た。残念ながらドロップアウト率は低くないが、それでも分析に足るだけのデータ数は確保している。また、オンラインによる面接調査を行い、質的な分析も行っている。これらの量的・質的なデータを分析することで、対人過敏傾向・自己優先志向が新タイプ抑うつの発症に及ぼす影響を明らかにすることが期待される。 また、令和4年3月に、ひきこもりとの関連が考えられる無職の人を対象に調査を行った。この調査では過去1ヵ月間のひきこもり状態を測定する尺度を実施している。データを分析して、尺度の信頼性・妥当性を検証する予定である。 精神医学研究(加藤班)では、インターネットを利用した調査に加えて九州大学病院の専門外来において臨床データおよび血液データを取得しており、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
心理学研究(坂本班)では、まず、2つの縦断調査を予定通り続けることにする。すなわち、令和3年3月から始めた調査については6回目の調査を令和5年3月に、令和4年3月から始めた調査については令和4年5-7月に2-4回目の調査を、令和5年3月には5回目の調査を、それぞれ実施することにする。 また、縦断調査への回答の中から、対人過敏傾向・自己優先志向と適応状態の結果を参照し、適する回答者に対してオンラインによる面接調査を依頼する。すなわち、対人過敏傾向・自己優先志向の傾向が比較的高いが、適応状態のよい人を対象にインタビューを行い、どのような要因が適応に肯定的に働いているかを聞き取る。 精神医学研究(加藤班)では、インターネットを利用した成人を対象とした調査を継続するとともに、九州大学病院の専門外来でのうつ病患者からの臨床データおよび血液データ取得を進める。
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Research Products
(8 results)