2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20H01783
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
久方 瑠美 東京工業大学, 工学院, 助教 (30588950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村井 祐基 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 特別研究員(SPD) (60847309)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 量知覚 / fMRI / 系列依存性 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究1のテクスチャ刺激への順応から引き起こされる知覚サイズ圧縮およびテクスチャ知覚に関する、fMRI計測の本実験を行った。去年度確定したパラメータおよび刺激を用いて、計11名の被験者に対してfMRI計測と行動実験を実施した。被験者の平均活動データを対象に行ったマルチボクセルパターン解析では、高密度テクスチャに順応後に特異的に観られるサイズ縮小現象に付随する活動パターンは特定できなかった。次に、単一ボクセル解析に切り替えて解析を行った。その結果、左右縁上回、左角回といういずれも頭頂連合野に対して有意な活動がみられた。これは、数・長さ・大きさに対する量推定は、脳内の同一箇所で行われており、空間的な量に関しては頭頂連合野の頭頂間溝に観られるという知見と親しいといえる。しかし、fMRI実験と全く同じパラダイムの知覚計測実験では、サイズ縮小現象を確認することはできなかった。別の行動実験で順応刺激とテスト刺激の呈示時間に関する検討を行い、行動実験で知覚現象が確認されないのはfMRI計測時に順応刺激とテスト刺激に対する活動を切り分けるために必要な刺激間のブランクが数秒と長いためであると推測された。この結果はEuropean Conference on Visual Perception 2022において発表された。 研究2の目的は、低次視覚特徴量に対する処理と大きさや数、時間長といった高次情報処理の関連性を調べることであった。本年度は位置特異的な量知覚が生じるか調べるために、視野上の様々な場所で時間長知覚の精度・確度の差を計測したが、その過程で、視聴覚刺激のタイミングの差を判断する課題において、直前に観察した時間差に現在の時間順序判断が引きずられる系列依存性が位置特異的に生じることを発見し、視覚研究の代表的国際専門学会であるVision Science Societyにおいて発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
fMRI計測は概ね予定通りに進み結果も出たものの、行動実験の結果が伴わないことが判明した。fMRI計測と同様のパラダイムで知覚現象が確認できないかぎり、脳活動の差が本当に知覚現象に付随するものであるのか確証が得られないため、別の検討方法を模索する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
研究1のfMRIの計測パラダイムでは、時間解像度の都合により、順応効果の減衰が早い「密度-サイズ縮小」順応現象と相性が悪いことが本年度の研究で明らかになった。今後は計画を変更し、時間解像度の高い脳波や脳磁図などを代替手段として検討していく。 研究2について、本年度に発見したタイミング知覚の系列依存性がもつ位置特異性に関する心理物理研究をさらに推し進めるとともに、当初目標である低次視覚処理と量推定の関連性を明らかにするため、刺激の空間位置や低次視覚特徴を変化させたときに時間長を始めとした量推定の精度・確度がどのように変化するか検討する。新型コロナウイルス感染症の状況にもよるが、必要に応じてオンライン実験等も活用しながらデータの効率的な取得に努める。
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