2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20H01784
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
佐藤 徳 富山大学, 学術研究部教育学系, 教授 (00422626)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪見 博之 富山大学, 学術研究部人文科学系, 准教授 (70447986)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 空間知覚 / 自己主体感 / 行為と知覚 / 随伴性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度もまた新型コロナウイルス感染症の流行は収束せず、暗室という密室での対面による長時間の実験を行うことはできなかった。そこで、本年度も、引き続き、感染防止の観点から、短時間で残像を形成でき、かつ、残像の大きさの測定に関して実験者との対面的なやりとりを極力減らせるように、実験方法の改善を行なった。 しかし、いくつか課題が生じ、実験方法の改善にはまだ時間が必要だったため、本年度は、過去の実験データの再分析ならびに社会的随伴性が距離知覚に及ぼす効果についてのオンライン調査実験も行なった。前者は、ボタン押しに随伴または非随伴して微笑む顔を30秒見て残像を形成し、実験参加者の114cm、171cm、228cm先にある投影面に残像を投影させ、その大きさを測定したものである。その結果、特に投影面が離れた場合(228cm)に自分のボタン押しによって表情が変化したという自己主体感が高いほど残像の大きさが小さく顔を近くに感じていることが示された(r=-.35, p<0.004)。 一般的に随伴性は、Aがある場合にEがある確率からAがなくてもEがある確率を引いた値として定義される。随伴性が高い場合にコントロール感や自己主体感も高い。ボタンなどの物体の場合は自らの意志で動くことはない。行為者の行為に随伴して動くのみである。しかし、人が相手の場合、こちらの行為に応じるのみならず、こちらが何をせずとも相手自らこちらに働きかける場合もある。その場合、定義上、随伴性は低下する。オンライン調査実験の結果、その場合でも、相手を遠く感じるどころか、随伴性が高く、こちらの行為に対してのみ応答する場合に比べて、むしろ、相手の存在を近くに感じることが示唆された。相手が生物かそうでないかにより随伴性の距離知覚への効果が異なる可能性があり、より詳細な検討が必要であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の流行が収束せず、長時間の密室での対面実験ができなかった。そこで、コロナ禍でも実施できるように、短時間で、実験者との接触も最小限となる測定法を模索しているが、いくつか課題が生じ、まだ完成には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
実験方法をさらに改善し、確定させ、実験を開始する。
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