2020 Fiscal Year Annual Research Report
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20H01804
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
会田 茂樹 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (90222455)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 確率解析 / ラフパス / 確率微分方程式 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラフパスで駆動される微分方程式(RDE)の場合も確率微分方程式の場合と同様に時間区間を短時間で区切って近似解を構成する方法がある.オイラー近似, ミルシュタイン近似, クランク・ニコルソン近似などである.これらの近似解と解との差(誤差)の分布の漸近挙動を決定するための研究を行った. 今年度は, 特に(実装可能な)ミルシュタイン近似解を主に考えた.基本的な考え方として, 解の従う方程式と近似解の従う方程式を一つのパラメータで補間する方程式の族を導入し, その補間方程式の解およびその解のパラメータに関する微分過程が近似解や解と同様によい性質を持つ(離散的な意味で考える必要があるがいわゆる被制御パスの性質を持つと言うこと)ことを示した. さらに, このことを用いて, 誤差を主要項と残余項に分解して, この主要項の漸近挙動を決定すればよいと言うことを示した. この分解の議論のため, ラフ積分とその離散近似との誤差評価を行った. 主要項および残余項の漸近挙動の計算には, いわゆる4次モーメント定理を用いて行う必要がある. 我々の方法だと, この確率過程の分布収束を連続関数の空間ではなく,十分よいヘルダー連続性を持った関数空間で示す必要がある. 1次元の場合は, 簡単な組み合わせ的な計算でこの部分は済むが, 多次元の場合はさらに, ある種のマリアバン微分のうまい評価が必要になる. 多次元の場合は, カメロン・マルチン空間のテンソル積の元によるRDEの解の微分を多次元のヤング積分としてとらえ評価を行うことを試みている. いくつかの具体的な例に関して良い評価を得ており, 現在は, この研究を進めているところである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
近似方程式と元の方程式を補間する方程式の族を用いて近似誤差の研究を行うというアイデア自身は数年前に得られたものだが, その厳密化などにずいぶんと時間が取られてしまっている. この部分を完全にしたい. さらに本質的な部分であるマリアバン微分の評価の部分もいくつかの具体的な場合の計算があるのみである.
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Strategy for Future Research Activity |
解の補間の部分はだいぶまとまってきたと思われる. マリアバン微分の評価の部分も一般的な場合で評価を行いたい. 1次元の場合はうまく行くので, Towghiの意味での積分評価を用いてその拡張を目指したい.
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