2020 Fiscal Year Annual Research Report
Theory of operator algebras and functional analytic group theory
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20H01806
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小沢 登高 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (60323466)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 作用素環論 / 函数解析 / 離散群論 |
Outline of Annual Research Achievements |
引き続く新型コロナ感染症の感染拡大のため、世界中で国際研究集会がキャンセルされ予定していた出張を行うことができなかった。また共同研究のための出張・招聘もできなかった。自分の研究業績の発表、あるいは他者の研究業績を学ぶだけであれば、論文やインターネット通信を通じて行うことが可能である。また既に目標の定まった共同研究でも同様である。しかし、数学研究においてはアイディアの交換が極めて重要であり、はっきり言語化される以前のアイディアをぶつけ合うには直に会ってやり取りする必要があるのである。ここ数年のあいだ研究交流が分断されたことは研究に対する大きな打撃となった。 トランプカードを混ぜ合わせるといった行為の数理モデルを吟味すると、ほとんど混じっておらず既存のパターンが残存する状態から十分に混じったほぼ無秩序な状態に極めて短時間で遷移するといった現象が見て取れる。このような相転移はカットオフ現象と呼ばれる。どのような確率過程においてカットオフ現象が観察されるかは興味深い問題である。この確率論の問題にエントロピーの解釈を加えた関数解析学的アプローチを導入し、E. LubetzkyとY. Peresによるよく知られた定理の極めて簡明な証明を得た。これは「ラマヌジャングラフの上の単純ランダムウォークではカットオフ現象が起きる」という定理である。より一般の遷移的エクスパンダーグラフ上のランダムウォークでもカットオフ現象が起きるか否かは 重要未解決問題である。この問題解決にはエントロピーの増大の仕方に関する古典的なシャノン・マクミラン・ブライマンの定理の適切な変形が成り立つことが重要であると考え、エントロピー・インクリメントが直近の行動にのみ依存するための単調的不変量の考察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナ感染症の感染拡大のため研究交流が分断されたため、孤立して独自の研究を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き作用素環論と離散群論の研究を行う。
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