2022 Fiscal Year Annual Research Report
Theory of operator algebras and functional analytic group theory
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20H01806
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小沢 登高 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (60323466)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 関数解析 / 離散群 / Kazhdanの性質 |
Outline of Annual Research Achievements |
群の解析学的な研究においては、従順性は極めて重要な性質である。無限次元解析の世界においkては、一般的にはいくらでもワイルドなものが存在するのが普通であり、したがって一般的な状況では分類研究などを行うことはできないと考えられている。しかし、従順性の仮定のもとでは解析的にワイルドな現象が起こらないことが期待され、より深い研究を行うことができるのである。本研究では作用素環のユニタリ群がいつ従順になるかを詳細に調べた。特に単位的単純核型C*環のユニタリ群に関する結果には分類理論への応用が見込まれる。また調査の結果、各従順性の概念(強従順性、弱従順性、斜従順性)が、作用素環のユニタリ群に対して異なることが判明した。 そのほかにも作用素環論と非可換実代数幾何学を用いた離散群の表現論を研究した。特殊線形群がKazhdanの性質を持つことは半世紀以上前に示された重要な定理であり、現在では複数の証明が知られているが、そのいずれもKazhdanの性質の弱い形「相対Kazhdanの性質」を踏み台にするものであった。本研究では「相対Kazhdanの性質」を経由しない新しい証明を発見した。これは巨大計算機を使って得られた数学的知識に基づいて行った(最終的には計算機に依らない)新たなタイプの研究である。本研究の結果、Kazhdanの性質を大きな冪零商を持つ群にまで拡張出来た。数論における超近似の研究への応用が見込まれる。論文は格調高いAnalysis & PDEに掲載予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍で2022年に予定していた研究が滞ったが、2023年に挽回できた。
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Strategy for Future Research Activity |
核型C*環の分類理論に関連してC*環のユニタリ群の従順性が研究者の注目を集めている。C*環のユニタリ群がいつ従順であるかに関する研究を行う。この件に関連してドイツに出張して、Thom教授と研究連絡を行う。2023年後半にカナダ・フィールズ研究所で行われる半年間のプログラム"Thematic Program on Operator Algebras and Applications"に一定期間参加する。つまりFields研究所に一定期間滞在して、参加研究者との研究交流を通じた作用素環論の研究を行う。
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