2022 Fiscal Year Annual Research Report
Mathematical analysis of pattern dynamics of reaction-diffusion systems and their singular limit problems
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20H01816
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
二宮 広和 明治大学, 総合数理学部, 専任教授 (90251610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 雅人 宮崎大学, 工学部, 教授 (00242264)
谷口 雅治 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 教授 (30260623)
三竹 大寿 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (90631979)
物部 治徳 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (20635809)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 反応拡散系 / 自由境界問題 / パターンダイナミクス / 進行波解 / 特異極限問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では次の3つのテーマについて考察した. 【テーマ1.単独反応拡散系の全域解の特徴付け】単独反応拡散系の進行波解の特徴付けについて考察した.応用上,進行波解の速度を求めることは非常に重要であるが,単安定型の進行波解の速度は,最小速度という形で得られることが多かったが,双安定型の進行波解の速度がわかっているのは,非常に限られた場合であった.その評価を得る方法を考察した.更に,非有界な進行波解の特徴付けを単独の反応拡散系に拡張する研究を行った. 【テーマ2.特異極限系の適切性・収束性・全域解の特徴付け】FitzHugh-Nagumo方程式の特異極限系として得られる反応界面系を空間1次元で考察し,全域解の特徴付けを行い,1次元の弱解の局所的存在および大域的存在を示した.また,空間2次元の場合の反応界面系の時間局所解の存在条件を調べたが,証明には至っていない. 【テーマ3.複雑領域におけるパターンダイナミクスの数理解析】空間非一様場における反応拡散系の解のダイナミクスを調べるために,面積保存曲率流について研究を行った.これは,Gageによる結果を空間非一様な場合に拡張した問題であり,細胞運動や自己駆動粒子の運動への応用も可能な重要な問題である.今年度は,定常解の性質について調べた.回転対称な空間非一様性を与えても,回転対称でない解が存在することを示した.また,一定の条件下で,解の大域的存在についても証明を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では3つのテーマについて考察し,以下の結果を得た.単独反応拡散系に対する双安定型の進行波解に関して,その速度を決定することまではできなかったが,評価することには成功した.また,非有界な進行波解の特徴付けを単独の反応拡散系の定常解を大きくした極限として特徴付けることに成功した.次に,FitzHugh-Nagumo方程式の特異極限系として得られる反応界面系を空間1次元で考察し,全域解の特徴付けを行い,1次元の弱解の局所的存在および大域的存在を示した.空間2次元の場合の反応界面系の時間局所解の存在条件を調べているところである.空間非一様場における反応拡散系の解のダイナミクスを調べるために,面積保存曲率流について研究を行った.これは,細胞運動や自己駆動粒子の運動に深く関わっている.今年度は,定常解の性質について調べた.回転対称な空間非一様性を与えても,回転対称でない解が存在することを示した.解の大域的存在についても,一定の条件下で証明に成功した.また,解の大域的挙動に関しては数値計算を行うことで,予測を立てた. 新型コロナの影響により,出張や国際共同研究には影響があったが,zoom等のビデオ会議を使うことで,補うことができた.また,予定していた国際研究集会が次年度に変更になったり,雇用したポストドクターが任期途中で転出したこともあり予算を繰り越したが,概ね順調に進んだ.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題では3つのテーマについて考察している.単独反応拡散系の進行波解について,進行波解の速度の評価や非有界進行波について得られた結果を論文にまとめていく.その際,過去の関連する研究結果が数多くあるので,それらを調べて,その違いを明確にしていく必要がある.次に,FitzHugh-Nagumo 方程式の特異極限系として得られる反応界面系に対する局所解の存在や適切性について述べる.空間1次元の場合には局所解の存在や適切性は示すことができたので,今後は,反応界面系の解のダイナミクスを調べて,論文にまとめる.2次元空間における反応界面系の局所解の存在や適切性ついても考察し,局所解の存在条件を調べ,解のダイナミクスの情報を得られるようにする.また,脈動進行波のような複雑な挙動をする全域解をもつような反応界面系の構成を試みることで,反応界面系の有効性を示していく.一方,除細動のように,カオス的な複雑な挙動をする解が摂動によって一様化する場合も観察される.このような現象を数学的に表現する方法を考えていく. 空間非一様場における反応拡散系の解のダイナミクスを調べるために,面積保存曲率流について研究を行い,ダイナミクスについて解析的な研究を行う.この研究を元に,空間非一様場における反応拡散系の解のダイナミクスを考察する.
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Research Products
(13 results)