2020 Fiscal Year Annual Research Report
Effective hamiltonian construction through combining numerical simulation with experimental approaches and its application to strongly correlated topological materials
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20H01850
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
山地 洋平 国立研究開発法人物質・材料研究機構, エネルギー・環境材料研究拠点, 主任研究員 (00649428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三澤 貴宏 早稲田大学, 理工学術院, 主任研究員(研究院准教授) (10582687)
吉見 一慶 東京大学, 物性研究所, 特任研究員 (10586910)
田村 亮 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 主任研究員 (20636998)
大串 研也 東北大学, 理学研究科, 教授 (30455331)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 量子スピン液体 / ベイズ最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では、量子物質、特にトポロジカルな量子スピン液体と呼ばれる電子状態を実現するため、強相関電子系と呼ばれる、電子間のクーロン相互作用と原子間の電子のトンネリングの効果が拮抗する物質群を解析するための手法開発を行う。研究代表者らが開発を主導してきたオープンソース・アプリケーションHΦを量子多体シミュレータに用い、実験データを入力とし、理論あるいは第一原理電子状態計算に基づく有効ハミルトニアンを『事前知識』として、有効ハミルトニアンのベイズ推定を行うアルゴリズムの開発、およびHΦの拡張機能としての実装・公開を目指す。さらに、新物質開発を行う実験グループと有効ハミルトニアン推定手法の開発運用グループとの密連携によって、強相関トポロジカル物質の有効ハミルトニアンの決定と理論物質設計指針の策定を目的として研究を進める。 本年度は、第一原理計算に基づいて実験データから強相関物質の電子状態を記述する有効ハミルトニアンを決定するため、ベイズ最適化のためのオープンソースソフトウェア(PHYSBO)と量子格子模型計算ソフトウェアHΦの接続、ならびに大規模な量子格子模型計算のためのオープンソースソフトウェア(mVMC)のチューニングを行った。引き続き特異な量子もつれを示す量子スピン液体の候補物質として研究が進む強相関物質RuCl3の磁化データを用いた有効ハミルトニアンの決定ならびに接続ツール整備と公開作業を進めている。また、量子スピン液体候補物質RuCl3、RuBr3およびRuI3の電子状態を第一原理計算によって解析、並行してこれらキタエフ物質の物質合成、結晶構造決定および物性測定を行い、電子相関がハロゲンの原子番号が大きくなることで弱まることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ベイズ最適化と量子格子模型ソルバーの接続が完了し、実験データを用いた有効ハミルトニアン推定が進んでおり、新たな量子スピン液体候補物質の物性解明についても理論と実験の協調により進んでおり、当初の研究計画の中でも中核的な目標は達成されており、計画は概ね順調に進展している。一方で、有効ハミルトニアン推定ツールの公開、および第一原理計算と有効ハミルトニアン推定の統合のは現在進行中であり、今後いっそう研究を進展させていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
有効ハミルトニアン推定ツールの公開を加速するべく、推定ツールの整備に予算を振り分けていく。また、第一原理計算を事前知識として、有効ハミルトニアン推定への統合を進める。 有効ハミルトニアン推定に用いる実験データを拡充するため、用いる分光学測定手法について、再検討を行う。当初計画で用いる予定であった非弾性中性子散乱の測定については、単結晶の必要性などから活用が難しいため、光学伝導度の活用を進めることで研究の進展を図る。
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Research Products
(3 results)