2020 Fiscal Year Annual Research Report
Design of surface state and spintronics functionality via Zak phase control
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20H01859
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金澤 直也 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (10734593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平山 元昭 国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, ユニットリーダー (70761005)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Zak位相 / 表面状態 / スピントロニクス |
Outline of Annual Research Achievements |
Zak位相という現代の電気分極の理論の基盤をなす量子位相の概念を用いて、新しい表面金属状態を開拓し、そのスピントロニクス機能を開拓することを大きな目標として研究を進めている。特にトポロジカル絶縁体とは異なる物質系に着目し、スピントロニクス技術を支える物質の幅を広げることが研究の特色となっている。 本年度は表面状態発現の理論的立証と表面状態検出のためのエピタキシャル薄膜合成を主な研究達成目標として研究を進めた。 この当初の目標を大きく超えて、本年度すでに全体研究目標を達成することができた。具体的には、候補物質である金属間化合物のエピタキシャル薄膜の合成に成功し、電気伝導測定と磁化測定によりその表面伝導状態と表面強磁性状態を実証した。また第一原理計算による電子状態についての理論計算によって、強磁性金属表面状態の発現がバルクの電子状態の持つ大きなZak位相に由来していることも立証することができた。さらに大きな電流密度を印加することによって、非相反電気伝導や電流誘起磁化反転といった表面状態の強いスピン軌道結合による物性を開拓することができた。これらの物性はそれぞれ、電流やスピン流の整流効果や磁気情報ビット操作に繋がるスピントロニクス機能である。トポロジカル絶縁体とは異なり、重元素を含まない化合物でスピン機能物性を実験的に実証できたことは注目すべきことである。これら一連の研究成果は論文としてまとめ、現在投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記した通り、本年度の研究計画を大幅に超えて、本研究の主目的であるZak位相を基軸とした表面状態開拓とそのスピントロニクス機能をすでに達成することができた。これは実験・理論の協力により研究が円滑に推進できた結果である。本結果についてまとめた論文も現在投稿中であり、成果発表への準備も着実に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で初めて明らかになったZak位相由来の新規表面状態は多くの特徴的な電子・スピン応答を示している。これらの詳細を明らかにするためにも、第一原理計算やX線・中性子線を用いて磁化の実空間分布やその大きさを精密に測定し、電子・スピン状態の微視的な起源に迫る。 これらの課題は当初の研究目標を大きく超えた発展内容となる。
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[Presentation] 狭ギャップ半導体FeSiのスピン偏極表面状態における非相反伝導と電流誘起磁化反転2021
Author(s)
大塚悠介, 金澤直也, 平山元昭, 松井彬, 野本拓也, 有田亮太郎, 茂木将孝, 藤原宏平, 塚﨑敦, 市川昌和, 川﨑雅司, 十倉好紀
Organizer
日本物理学会76回年次大会
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