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2020 Fiscal Year Annual Research Report

顕微イメージングを用いた非平衡ソフトマター不均一系の局所力学応答測定

Research Project

Project/Area Number 20H01873
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

木村 康之  九州大学, 理学研究院, 教授 (00225070)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywords局所力学測定 / メソスコピック構造 / 非平衡ソフトマター / アクティブマター
Outline of Annual Research Achievements

本年度は、ホログラフィック顕微鏡顕微鏡(DHM)を用いたコロイド粒子の3次元追跡法の開発を行った。本研究では通常の照明をLED照明に変更して、入射光と粒子による散乱光との干渉で生じるホログラムを得て、以下の2つの解析法を用いて粒子位置の3次元位置推定を行った。まず、1枚のホログラムから任意の高さでのホログラムをRayleigh-Sommerfeld(RS)の回折理論を用いて数値的に逆算することで3次元光場を再構成し、その閾値以上の領域の強度重心を粒子位置とした。まず、Lorenz-Mie(LM)散乱理論に基づき計算される球状粒子の理論ホログラムにRS法を適用し、その妥当性を定量的に評価した。その結果、LEDのような波長分散のある光源を用いた場合でも、コヒーレンス長(実験のLEDでは18ミクロン)程度の範囲では、設定した高さと推定された高さには線形関係が得られ、位置推定法の妥当性が確認された。一方で、設定高さと推定高さの絶対値には一定のオフセットが存在することが確認された。
次に、2粒子が鉛直方向に並んだ配置の理論ホログラムを用いて、RS法での鉛直方向の位置分解精度を検証したところ、両者がほぼ接触するような近距離では、ホログラムの見た目からは2粒子の識別が困難であるが、RS法を用いて2粒子位置の推定が可能であることがわかった。
次に、実験光学系の構築と単一サイズコロイド分散系およびそれをゲルで固定した系にRS法とホログラムに直接LM理論式であてはめるLM法の2つの方法を適用した。その結果、コヒーレンス長程度までの範囲で正確な変位測定が可能であることが確認された。LM法では粒子の重心位置に加え、粒子の半径および屈折率も同時に求められ、重心位置の時間変化から得られた流体力学的半径とLM法で得られる半径を同時に得ることに成功した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本年度はCOVID19の蔓延のために4月から8月までの期間は在宅勤務を求められ、ホログラフィック顕微鏡の構築やそれを用いた実際の測定は年度の後半のみで行った。このため前半では、新たにLorenz-Mie(LM)散乱理論に基づき球状粒子のホログラムを計算するプログラムを作成し、それを用いて作成した理論ホログラムに対してRS法の解析プログラムを用いて、RS法の位置測定精度の理論的検討を行った。また、LEDを光源として用いた際に問題となる波長幅の広さ、入射光の空間的な広がり等の影響を事前に理論的に検討した。
後半では、実験系の構築と実験で得られたホロクラムに対してRS、LMの両方法を適用した。この際、LM法では画像のばらつきを抑えるために、ホログラムの動径平均に対して得られた強度分布にLMの理論式のあてはめ行った。その結果、正確な粒子サイズや屈折率の推定には粒子の重心位置の推定が重要であり、ホログラムの対称性から重心を決定するプログラムを作成し、LM法の解析精度向上を行った。
しかし、時間的に、さまざま系にコロイド粒子をプローブとして分散させ、それらを熱揺動および電場を用いて駆動させてその3次元での受動的運動や外場応答を観測する実験までは実施することができなかった。また、中間報告を年度内に学会で行う予定であったが、研究の進捗が遅れたために、次年度に学会参加のための旅費および参加費を繰り越した。

Strategy for Future Research Activity

繰り越した資金で次年度に中間報告を界面およびコロイド化学討論会などで行ったが、学会がオンラインでの開催となったために旅費が不要となった。今後、さまざま系に開発されたホログラフィック顕微鏡顕微鏡を適用する計画である。残りの期間でその実現をめざすために、複数の対象に対して効率よく測定を可能にするため、次年度に上記の繰越金を用いて、比較的高速のCMOSカメラを導入した。これにより研究計画を加速的に推進する予定である。

  • Research Products

    (8 results)

All 2021 2020 Other

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (5 results) (of which Invited: 2 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] ネマチックコロイド2020

    • Author(s)
      木村康之
    • Journal Title

      液晶

      Volume: 24 Pages: 88-96

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 電気泳動光散乱法の基礎と展開2020

    • Author(s)
      木村康之
    • Journal Title

      ソフトマター

      Volume: 10月号 Pages: 10-13

  • [Presentation] ホログラフィック顕微鏡法を用いたコロイド粒子の3次元追跡2021

    • Author(s)
      満生明輝, 木村康之
    • Organizer
      第72回界面コロイドおよび界面化学討論会
  • [Presentation] 光渦で駆動された流体相互作用する粒子系が示すリズム運動2021

    • Author(s)
      木村康之
    • Organizer
      研究会「光の軌道角運動量の発生機構と物質相互作用の理解」
    • Invited
  • [Presentation] 液晶マイクロスイマー2020

    • Author(s)
      木村康之
    • Organizer
      日本液晶学会ソフトマターフォーラム講演会
    • Invited
  • [Presentation] ホログラフィック顕微鏡を用いたコロイド分散系の 3 次元解析2020

    • Author(s)
      満生明輝, 植松祐輝, 木村康之
    • Organizer
      第126回日本物理学会九州支部例会
  • [Presentation] 液晶マイクロスクイマーの運動2020

    • Author(s)
      林和気, 植松祐輝, 木村康之
    • Organizer
      第126回日本物理学会九州支部例会
  • [Remarks] 複雑物性基礎研究室

    • URL

      http://sm.phys.kyushu-u.ac.jp/~kimuralab/Research.html

URL: 

Published: 2022-12-28  

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