2020 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of physics underlying spatiotemporal pattern formation in cell size spaces
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20H01875
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
藤原 慶 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 講師 (20580989)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
義永 那津人 東北大学, 材料科学高等研究所, 准教授 (90548835)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ソフトマター / 時空間パターン / 細胞サイズ空間 / 反応拡散系 / 合成生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
人工細胞を用いた実験系と、実モデルと縮約変数モデルの反応拡散方程式を用いた理論系を組み合わせ、生命の時空間パターンを決定する細胞内反応拡散波の物理を完成させることを目的としている。これまでバクテリアの細胞分裂面を決定するMinタンパク質系を材料に、その反応拡散波(Min波)を人工細胞内にて安定的に発生させる実験系の構築に成功し、(1)人工細胞の直径と波の形状・速度に相似性が現れること(空間相似性)、(2)球形人工細胞では楕円形の生細胞で見られる極間振動波でなく移動波が主となること(形状依存性)、(3)反応パラメータの変動に対して、波の性質が安定であること(性質の安定性)を見出している。本年度は(1)と(3)に関して研究を進めた。(1)においては、膜上拡散速度、因子の濃度、混雑度、因子の結合強度のような各種パラメータを網羅的に変化させたところ、パラメータによらず空間相似性が維持されることを見出した。現在、3変数の縮約方程式によって説明できるか、解析を進めている。(3)に関しては、(1)と同様にパラメータを網羅的に変動させた場合にも性質の安定性が概ね保持されていることを見出した。同時に、いくつかのパラメータにおいては性質の安定性が消失することも確認した。現在、詳細化された6変数モデルを用いた理論との対応から、なぜパラメータによっては性質の安定性が消失するのか、顕在化するのか、についての理解を目指している。また、(2)に関しても球形人工細胞においても極間振動波が安定的に存在することが確認された。特にある1つのパラメータがこれらのモード選択に重要であることが示唆された。この結果は別グループの研究との矛盾した結果を説明するものであり、細胞内反応拡散波のモードの選択に関する重要な知見につながることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究項目(1)と(3)の現象について、当初考えていたより早く理解に到達しそうであるため。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)については、速度の相似性に関して研究を進める。具体的には、速度を変化させるパラメータに着目し、縮約方程式との対応から相似性の創発における本質的に必要な条件に迫る。(2)は人工細胞の形状を変化させる系を確立し、モードの選択に関して迫る。また、要素濃度がモード選択に重要とする予備知見を得たため、この点についても掘り下げていく。(3)の塩強度におけるMin波の性質の安定性に関しては、形状については完全な理解に近づきつつあるので、研究をまとめあげる。速度に関しては(1)同様に解釈できていない部分があるため、パラメータに対する応答と縮約方程式を利用して理解に迫る。
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Research Products
(3 results)