2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of the W/ODS-Cu divertor heat removal component by using the Advanced Multi-Step Brazing (AMSB)
Project/Area Number |
20H01887
|
Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
時谷 政行 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (30455208)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 先進的ろう付接合 / ダイバータ / タングステン / 銅合金 / 微細構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,研究代表者が発明した世界初のろう付接合法「先進多段階ろう付接合法(Advanced Multi-Step Brazing: AMSB)」を用いて,酸化物分散強化銅(ODS-Cu),具体的にはGlidCopをヒートシンク材料に,タングステン(W)をアーマー材料とした世界最高性能の核融合炉用ダイバータ受熱機器の設計・製造技術の確立を目的としている. AMSBは,同じく研究代表者により発明された「先進的ろう付接合法」を応用したものである.2020年度は,先進的ろう付接合法で作成した各種接合試験体の機械的特性評価と微細構造解析を実施した.その結果,W/GlidCop,GlidCop/GlidCop,ステンレス鋼(SUS)/GlidCopの接合継手において,変形から破断に至る機構を明らかにした.当初は,2020年度の評価・解析結果を基に,ろう付接合で用いる主要なパラメータである「ろう材厚さ」,「接合時圧縮荷重値」,「熱処理温度」を同年度中に確定させる予定であったが,最適化パラメータを確定させるためには,2020年度中の評価・解析結果に更なる追加実験が必要であることがわかった.具体的には,特に,W/GlidCopの接合において,圧縮荷重値の強弱によって接合界面近傍の応力状態に予想以上の変化が生じることが発見されたため,この発見の物理を材料学的な視点から追及し,最適化パラメータの確定に反映させる必要が生じた.一方で,2020年度に大型の研究用真空熱処理炉を本研究費にて核融合科学研究所に予定通り納入を完了させた.2021年度以降は,導入した大型の研究用真空熱処理炉を利用しつつ,上述した最適化パラメータの確定を目指す.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」においても述べた通り,研究初年度となる2020年度は,先進的ろう付接合法で作成した各種接合試験体の機械的特性評価と微細構造解析を実施し,W/GlidCop,GlidCop/GlidCop,ステンレス鋼(SUS)/GlidCopの接合継手において,変形から破断に至る機構を明らかにすることに成功した.一方で,当初は,2020年度の評価・解析結果を基に,ろう付接合で用いる主要なパラメータである「ろう材厚さ」,「接合時圧縮荷重値」,「熱処理温度」を同年度中に確定させる予定であったが,最適化パラメータを確定させるためには2020年度中の評価・解析結果に更なる追加実験が必要であることがわかった.その理由としては,W/GlidCopの接合時の圧縮荷重値の強弱により,WとGlidCopの接合界面近傍に生じる応力状態に予想以上の変化が生じることが明らかになったためである.つまり,2020年度の結果だけで最適化パラメータを確定させることは時期尚早であり,圧縮荷重値の変化が応力状態の変化をもたらす物理機構を材料学的な観点から明らかにした後で,最適化パラメータの確定へと進む必要が生じた.最適化パラメータの確定に至らなかった点だけを見れば当初の計画よりも遅れているように受け止められる場合もあるが,圧縮荷重値の変化が接合部の応力状態に有意な変化を与え得るという事実は材料学的にも興味深く,物理的な機構を解明することで接合特性の改善に新たな知見をもたらす可能性があるため,むしろ新たな方向へ進展したと捉える方が自然である. また,機器整備に関しては,2020年度に大型の研究用真空熱処理炉を本研究費にて核融合科学研究所に予定通り納入を完了させた. 以上の観点から,「当初の計画以上に進展している」と考えられる.
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的を達成するためには,まず,強靭な接合部が得られる物理を解明するため,「(1)ろう付接合部の詳細な機械的特性評価と微細構造解析」が必要である.次に,AMSBで製造する冷却構造の限界性能を確かめるため,「(2)AMSBで小型ダイバータ受熱機器試験体を製造し,20MW/m2以上の定常熱負荷試験」を実施する必要がある.(1)と(2)の知見を基に更なる接合特性の改善を図ることで,「(3)AMSBによる大規模ダイバータ受熱機器の設計・製造技術の確立」を行う. 2021年度は,ろう付接合で用いる主要な最適化パラメータである「ろう材厚さ」,「接合時圧縮荷重値」,「熱処理温度」の確定を目指す.これには,W/GlidCop接合試験体製造時に圧縮荷重値を変化させた複数の接合試験体を製造し,圧縮荷重値の変化が接合部の機械的特性や微細構造にどのような変化をもたらすのかを調べる必要がある.この調査実験は2021年度中に十分に完了できる予定であり,これにより,最適化パラメータの確定を行う. 本研究では,「(A)接合試験体の製造」,「(B)接合部の評価・解析」,「(C)最適化パラメータの整理」を繰り返すことで目標を達成する予定であるが,それには,(A)~(C)の繰り返し周期をできるだけ短くした方が効率的である.2020年度に本予算にて核融合科学研究所に納入した大型の研究用真空熱処理炉を2021年度から本格稼働させることで,接合試験体の製造効率を飛躍的に向上させる計画である.これにより,世界最高性能の核融合炉用ダイバータ受熱機器の設計・製造技術の確立を計画通り達成させることができると考えている.
|
-
[Journal Article] Advanced multi-step brazing for fabrication of a divertor heat removal component2021
Author(s)
M. Tokitani, Y. Hamaji, Y. Hiraoka, S. Masuzaki, H. Tamura, H. Noto, T. Tanaka, T. Tsuneyoshi, Y. Tsuji, T. Muroga, A. Sagara, the FFHR Design Group
-
Journal Title
Nuclear Fusion
Volume: 61
Pages: 046016
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-