2021 Fiscal Year Annual Research Report
Ammonia synthesis by pressure swing in plasma reactor
Project/Area Number |
20H01891
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
森 伸介 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (80345389)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アンモニア合成 / 非熱プラズマ / 圧力スイング / 圧力スイング反応器 / パルス放電 / 沿面放電 / 放電同期 / 非定常操作 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、赤外線センサーを用いて圧力スイング反応器のピストンの位置を検知し、マイクロコンピューターを用いて圧力スイングと放電時期との同期を取る実験装置において、放電タイミングと圧力変動タイミングとの同期を様々な組み合わせで実施し、アンモニア合成効率に与える影響を詳細に調べた。下死点から上死点までの間に放電するケースを"Compression"、上死点から下死点までの間に放電するケースを"Expansion"、上死点と下死点の中間点から下死点を経由して中間点までの間を"Low"、下死点と上死点の中間点から上死点を経由して中間点までの間を"High"として、4つの同期パターンを比較した。その結果、まずアンモニア合成速度は"Compression"の時に最大の値が得られた。そして、アンモニア合成速度を放電力で割ることで算出されるアンモニア合成効率に関しても"Compression"の時が最大となった。以上の結果から、圧力スイングの効果は、当初考えていたような低圧時における解離反応の促進が原因ではなく、圧縮時ににおける触媒表面への解離吸着の促進が原因である可能性が示唆された。令和2年度の結果からは、合成されたアンモニアを減圧して触媒表面から脱離させることの重要性が示唆されており、圧力スイングの効果は、圧縮行程での触媒表面への解離吸着の促進と、減圧行程での触媒表面からの生成物の脱離促進の効果と考えられる。反応器の改良により、圧力スイングと放電とガス吸排気のタイミングを意図するように制御できるようになったため、パラメーターの最適化および触媒の利用によってはさらなる合成効率の向上が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
圧力スイングと吸排気タイミングおよび放電の同期を行うことで、触媒を積極的に利用していない現状において、既に高いアンモニア合成効率を得ることに成功しており、今年度以降の触媒の最適化によって、更なる性能向上が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、これまでに得られた知見をもとに、アンモニア合成触媒を併用した圧力スイング反応器において、圧力周期、放電周期、窒素供給周期、水素供給周期、排気バルブ開閉周期をシンクロさせた変動操作プロセスでアンモニア合成実験を行う。これまでに、圧力スイングと吸排気タイミングおよび放電の同期を行うことで、触媒を積極的に利用していない現状において、既に高いアンモニア合成効率を得ることに成功した。触媒をプラズマ合成に重畳することでアンモニア合成効率が上昇したという報告は非常に多くの例があり、本研究でも合成効率の上昇が期待できる。そこで、圧縮上死点時の最少反応器体積部に多孔質担体に担持させたアンモニア合成触媒を配置することで、アンモニア合成効率の向上を図る。本研究では特に、窒素分子の解離に有利に働く鉄系の触媒とアンモニア合成に有利に働く白金族系の触媒とを比較し、更にはプラズマ点火時期と圧縮サイクルとのシンクロを取ることで、本プロセスに特有の効果的な触媒を選定する。更には、触媒の担体としてアルミナを用いることで合成効率が向上することが報告されている。これは、プラズマの作用で解離した窒素原子がアルミナに補足され長寿命となりアンモニア合成効率が向上するためとされている。本研究でも、減圧時に解離し生成した窒素原子が高圧圧縮時まで残存することでアンモニア合成効率が上昇することが期待できるので、触媒担体の効果についても検証を行う。そして、現象のモデリング、特に律速段階の素反応の時定数と、圧力スイングスピードの周期とを比較することを目的とした反応に特化した数値シミュレーションを行うことで、本プロセスを一般化するための知見を得る。
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Research Products
(1 results)