2021 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical study of dark matter search using neutron stars
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20H01897
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
濱口 幸一 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (80431899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永田 夏海 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (60794328)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 暗黒物質 / 中性子星 / 超新星 / アクシオン |
Outline of Annual Research Achievements |
濱口、永田が阿部(博士研究員)と共に執筆した、アクシオン・原子の逆Primakoff散乱過程の理論計算を再検討した論文が査読つき雑誌に掲載された。[Phys. Lett. B815, 136174 (2021)] 従来の計算では原子内の静電場として湯川型ポテンシャルが仮定されていたが、相対論的ハートリー・フォック法に基づく原子内電子分布を用いて同過程を再計算した結果、O(1) keVのエネルギーを持つアクシオンについて従来よりも一桁以上小さい断面積が得られることが明らかになった。この結果はXENON実験による低エネルギー電子反跳による新物理探索の論文 [Phys.Rev.Lett. 129 (2022) 161805] にも用いられている。 また、本科研費での雇用にによる博士研究員Maura Ramirez-Quezada氏が2021年7月に着任し、中性子星の表面温度測定を用いた暗黒物質探索に関する理論研究について議論を始めた。特に、ミューオン磁気双極子モーメントの実験値と理論値のずれを説明可能な暗黒物質模型に注目し、それらの暗黒物質候補を中性子星表面温度観測によって探索しうるかどうかの解析を行った。 さらに、電弱多重項暗黒物質の中性子星捕獲率を系統的に計算し,中性子星表面温度観測と将来の暗黒物質直接探索実験との相補的役割について検討する研究にも着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
・論文リストや学会発表リストにあるように、代表者・分担者ともに順調に研究業績をあげている。 ・2021年11月には、東北大学にて永田が集中講義「中性子星と標準理論を超える物理に関して」を行った。この他にも、本研究課題に関連したテーマに関して、濱口・永田による招待講演が多数あった。このように本研究課題の研究は広く注目を集めており、波及効果も見られ始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、中性子星の表面温度測定を用いた暗黒物質探索に関する理論研究について2つの論文を執筆した。 ・[arXiv:2204.02238] Phys.Rev.D 106 (2022) 055031, Capture of Electroweak Multiplet Dark Matter in Neutron Stars. ・[arXiv:2204.02413] JHEP 10 (2022) 088, Neutron Star Heating in Dark Matter Models for the Muon g-2 Discrepancy. これらについては2022年度の実績報告書において報告する。 2023年度は、中性子星の内部加熱機構の一つである vortex creep 機構について再検討し、論文を執筆する予定である。またこの vortex creep 機構の暗黒物質探索への影響についても解析する。その他、暗黒物質による中性子星の状態方程式への影響についても議論を進める。
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