2020 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism of Two-proton Radioactivity - Direct Mass Measurements of Two-proton Emitters
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20H01910
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
道正 新一郎 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (80392140)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 実験核物理 / 不安定核 / 二陽子放出 / 核質量測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、2002年に発見された新たな核壊変様式である二陽子放出現象の機構解明を目指している。この現象は非束縛二陽子のトンネル効果を伴うため、その理解には弱く束縛した二陽子の相関を評価することが不可欠であり、二陽子放出核45Fe, 48Ni等の質量がその理解には決定的である。核質量は不安定核ビームラインの飛行時間法を用いて行うため、ビームラインを飛行する粒子の飛行時間と磁気剛性の個別測定が必須である。初年度である本年度は、加速器実験に向けた下記の研究を行った。 (1)飛行時間測定用検出器として高速応答性が特徴であるCVDダイヤモンド検出器を使用する。ビームラインでの飛行時間を高精度に測定するためにビームラインの始点と終点にCVDダイヤモンド検出器を整備する。高時間分解能の達成のため、前段増幅器を最適化し、計画実験向けた回路構成を決定した。 (2)磁気剛性測定用検出器は、ビームライン中間点での通過位置から磁気剛性を決定する。精度向上には、高係数・高位置分解能が求められるため、個別読み出し方式の低圧ガス検出器を製作した。ビーム照射テスト実験を行ない、想定の性能が見込まれている。引続き、詳細な評価を進めている。 (3)アイソマー同定のための最終焦点面検出器群の仕様を検討し、ビーム停止後の崩壊粒子測定用検出器の試作器を製作した。検出器の基本構成としてプラスチックシンチレータとMPPACの組み合わせを採用し、ビーム停止数ミリ秒後のアルファ線・ベータ線の測定が可能であることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
検出器の基礎試験から、本計画実験の検出器構成が決定できた。実験に向けた加速器ビームラインへの設置・データ測定への重要なステップが完了できた。
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Strategy for Future Research Activity |
飛行時間測定用高時間分解能検出器、磁気剛性測定用検出器については、実機を加速器ビームラインに設置する。ビーム停止後の崩壊粒子測定用の検出器については、実験条件にあわせた検出器を製作し、その後実験装置に組み込む。以上の整備ができ次第、計画実験をすみやかに実施する。
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