2021 Fiscal Year Annual Research Report
Gamma Ray Astronomy at Highest Energy in the Southern Hemisphere
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20H01920
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
大嶋 晃敏 中部大学, 工学部, 准教授 (10546336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐古 崇志 東京大学, 宇宙線研究所, 特任助教 (00705022)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 宇宙線 / 空気シャワー / 超高エネルギーガンマ線天文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題研究は、南米ボリビア・チャカルタヤ山中腹(標高4,740 m)で建設中の空気シャワー観測装置(ALPAQUITA)に、広いダイナミックレンジの光電子増倍管(Low-gain PMT)を追加し、高エネルギー領域(sub-PeV~10 PeV超)でのエネルギー決定精度を劇的に向上させ、南半球の空を低バックグラウンド且つ広視野で、10 PeV(10の16 乗電子ボルト)を超えるガンマ線を観測し、最高エネルギーガンマ線天体を世界最高感度で探索することを目標とする。本研究により、未開拓の PeV を超えるガンマ線の検出に成功すれば、銀河系内で発生している最もエネルギーの高い宇宙線の起源解明につながる成果となる。ガンマ線の検出方法は、空気シャワー中のミューオン成分を測定することで実現する。原子核宇宙線の作る空気シャワーでは大気上層でパイ中間子を介しミューオンが多数発生するが、ガンマ線が作る空気シャワーはほぼ純粋なガンマ線と電子からなる電磁カスケードを形成し、ミューオンをほとんど含まない。このような空気シャワーの特性を利用し、空気シャワー中のミューオン数を測定することで、ガンマ線とバックグランドとなる原子核宇宙線の選別を可能にする。また、現在のALPAQUITAでは、各空気シャワー粒子検出器に1本しか光電子増倍管が装備されていないため、高エネルギーガンマ線によって生じた空気シャワーでは、シャワー中心付近の検出器は粒子数が飽和してしまってエネルギー決定精度が下がってしまう。本課題研究で目指すPeV を超える空気シャワーについては多数の検出器が飽和状態となり検出できない。これを改善するために、ダイナミックレンジの広いPMTを追加し、一つの検出器で5,000粒子程度までの測定を可能にする。これによって、数100 TeV のガンマ線だけでなく10 PeV を超える宇宙線の観測も可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究2年目である2021年中も、引き続き新型コロナウィルスの世界的流行が収まらず、国内および世界的な物流の停滞が続いており、ボリビアでの物資の受け渡しと、観測場所までの輸送の目処が立たなかったため、物資の安全を確保することができず、光電子増倍管等のボリビアへの輸出は断念した。一方で、昨年度に引き続き、国内における研究の準備はある程度進めることができ、学会での進捗状況の発表や、オンラインによる定期的な研究会議を共同研究機関との間で行った。申請者の所属大学における新たな研究グループの形成も進み、研究室に学生が配属されることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題研究で実施する最高エネルギーガンマ線の観測施設が、南米ボリビアにあるということもあり、海外渡航や現地での活動範囲などが新型コロナウィルスの流行の程度に大きく左右されることから、パンデミックの推移を見守るしか他ない。昨年度中に予定していた共同研究機関への物資の送付は、当該年度中に共同研究機関に送付することができた。研究計画の推進方策については、ボリビアの実験グループ全体の定期会合において議題に挙げ、全体の計画の中で他のプロジェクトの進行具合に合せて計画を練り直していくことで、プロジェクト全体が滞りなく進められるようにする。
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Research Products
(8 results)