2020 Fiscal Year Annual Research Report
Probing the absolute neutrino mass scale with a large TES bolometer array for CMB polarization measurement
Project/Area Number |
20H01921
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
長谷川 雅也 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 研究機関講師 (60435617)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 宇宙背景放射 / ニュートリノ / 偏光 / 超伝導検出器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、従来に無い高感度な宇宙マイクロ波背景放射の観測を実現し、いまだ未解明なニュートリノ質量の絶対スケールに迫る事を目標としている。そのために、世界最大規模の超伝導ミリ波検出機アレイ"POLARBEAR-2"を有する偏光観測装置群「Simons Array」実験において3台の望遠鏡を立ち上げ科学観測を開始する。 今年度は観測サイトが12月までCOVID-19の影響で閉鎖されていたため、その間に1台目の望遠鏡の性能向上のためのR&Dと準備を行った。12月にサイトが再開し、米国の共同研究者が望遠鏡の再起動を行ったタイミングで、測定器の改良を行い再び試験観測を開始した。改良では不良となった読み出しハードウェアの交換と共に低周波ノイズ削減のための偏光変調装置(半波長板)も新たに導入し、その後の試験観測にて期待する性能が出ている事と半波長板がビーム等の光学特性を変化(劣化)させていない事を確認した。その後人工較正光源による検出器の応答性やアンテナ偏光角の較正手法に関する研究も進め、原理検証を完了した。 2台目の望遠鏡に関しては、COVID-19の影響で米国での光学素子準備に大きな遅延が発生する見込みとなったため、本研究代表者も中心的な役割を果たしながら、日本にて赤外線フィルター等の光学素子および反射防止膜を製作し、観測サイトへ輸送を行なって、望遠鏡への搭載作業の開始まで漕ぎ着ける事が出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績で述べた通り、COVID-19で観測サイトがほぼ閉鎖されるという状況の中、Simons Arrayの1台目を改良後に再開をし、2台目の立ち上げも目前に予定し ている。また系統誤差制御のためのキャリブレータの長期安定運用も達成している。COVIDによる米国内の2台目の準備の遅れを、本研究代表者をはじめ日米の研究者が密に連携をして克服するなど、着実に計画が進行している。これらの状況を勘案し、また計画に大きな遅延が生じていないため、おおむね順調に進展している、とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はSimons Array 1台目の科学観測の早期開始と2台目の立ち上げを早々に行う。並行してニュートリノ質量和探索のための小角度スケールにおける偏光精密観測に欠かせない機器の応答性の較正について、すでに原理検証を行なっている人工較正源の活用も含めて、適切な観測スケジュールの確立を目指す。
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Research Products
(18 results)