2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of an ultra-low energy threshold detector based on superconducting devices and expansion towards drak matter search in the sub-GeV region
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20H01927
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
武内 勇司 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (00375403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 剛 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (30709598)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 超伝導トンネル接合素子 / SOI極低温増幅器 / Sub-GeV暗黒物質探索 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,超伝導体素子STJと半導体の技術であるSOI回路を組み合わせることにより,既存の検出器の概念を超える低エネルギー閾値検出を可能とする検出器の開発・実用化,更にその応用例として暗黒物質探索におけるsub-GeV探索領域の新規開拓が主目的である。 2020年度の計画として,先行研究において作製されたSOI回路の極低温での挙動に対する知見から,超伝導トンネル接合素子Nb/Al-STJの可視光~近赤外域単一光子に対する応答信号の増幅が可能なSOI増幅回路の設計・作製をSOIのMulti-Project Wafer(MPW)ランに参加して行う予定であった。しかしながら先行研究において作製されたSOI回路を用い,STJの光応答信号の読み出し試験を行った結果,STJ自身及びSTJのバイアス配線による寄生容量による高周波成分が十分に増幅されていないことが明らかになった。このため,周波数帯域を従来の回路に比べて一桁以上改善する増幅器回路を新しく設計し直す必要が生じた。この回路設計のため,極低温下の回路シミュレーションを行うためにSOIのMOS-FETの極低温での特性変化の追加測定を行った。この結果,SOIのMOS-FETは,3Kの極低温下において,常温と比べて,飽和領域のドレイン電流が約1.5倍に増加し,閾値電圧が約0.2V上昇する,というモデルを採用したシミュレーションを行うことで,おおよそSOI回路の極低温下の挙動が再現できることが判明し,極低温増幅回路の設計が可能になった。 超伝導トンネル接合素子Nb/Al-STJに関しても,素子自体を暗黒物質探索の検出体として使用するために最大1μm厚の素子の作製条件の探索を行った。またSTJ素子を動作させる際に必要となる100ガウス程度の磁場を作るための超伝導コイルに永久電流スイッチを付ける改良を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の計画としては,超伝導接合素子(STJ)からの信号を極低温下での増幅し冷凍機外へ読出しを行うための極低温増幅回路設計のためのSOI MOS-FETを用いた増幅回路の基礎データ収集であったが,これは先行研究において作製されたSOI回路を使用して,極低温下での試験を行うことで得ることが出来た。その知見をもとにSOI回路の極低温下の挙動をおおよそ再現できる回路シミュレーションを行うことが出来た。これにより,極低温増幅回路の設計を行う環境が整った。 以上から概ね研究計画通りに進捗していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
Nb/Al-STJ からの信号を極低温下で増幅し冷凍機外へ読み出すためのSOI MOS-FETを用いた増幅回路を極低温下での挙動変動を取り入れた回路シミュレーションを使用して設計し,これをMulti-Project Wafer(MPW)ランに参加し作製する。回路中の各FETの動作電圧をシミュレーション値と実測とを比較することにより,シミュレーションの妥当性の検証を行い,STJで可視~近赤外域単一光子の入射信号を確認することにより,sub-eV のエネルギー入射に対する検出器の応答性能を確認する。 また,冷凍機へのSOI極低温増幅器の電源用配線の増設や,改良STJ用超伝導コイルの設置などを行う。
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