2021 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙暗黒物質検出器高感度化のための極低放射能技術の開発
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20H01931
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
風間 慎吾 名古屋大学, 素粒子宇宙起源研究所, 准教授 (40736592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 雅樹 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 特任准教授 (10504574)
伊藤 好孝 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 教授 (50272521)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 暗黒物質 / 液体キセノン / SiPM / ラドン / 石英 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、PMTとSiPM両方の特徴を併せ持つハイブリッド光検出器の高感度化と石英ガラスを用いた密閉型液体キセノン検出器の開発を行った。 ハイブリッド光検出器に関しては、これまでに浜松ホトニクス社と共同で世界初のプロトタイプ検出器の開発を行い、室温での性能評価を行った。その結果、期待通りダークカウントを低減できていることが判明した。また検出効率の測定を行なったところ、1.5 kV程度の高電圧では数%とごく僅かであることが判明した。これは低エネルギー電子がSiPMのアバランシェ領域に辿り着けていないためである。本研究では、これを改善するため低エネルギー電子を薄いプラスチックシンチレータに照射し、これにより生成された光子をSiPMで検出するというアイデアを提案した。現在、その試作機の開発を行っている。 密閉型液体キセノン検出器の開発に関しては、SPE SCREEN Quartz社の協力のもと、石英でできた真空容器の開発を行い、そのラドンシール特性の評価を窒素ガスを用いて行った。窒素ガスと1Lラドン検出器を用いた測定から、ラドンの侵入量を1/100に低減できることが判明し、現在キセノンガスを用いたシステムに応用し、ラドン排除性能の評価を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ハイブリッド検出器に関しては、その検出効率を改善するための案に目処がつき、その試作機の開発が順調に進んでいるためである。 密閉型液体キセノン検出器開発においては、石英ガラスを用いた真空容器の設計・施策に目処がつき、実際に窒素ガスを用いた測定により当初の目標であったラドンの排除が可能であることが実証されたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
ハイブリッド検出器に関しては、開発した試作機の検出効率が確かに改善されているのかの検証を行う。 低ダークカウントSiPMに関しては、真空紫外光に感度のあるプロトタイプの開発が完成し、そのダークカウント特性の性能評価を行う。 密閉型液体キセノン検出器開発においては、実際に液体キセノンを用いたシステムでラドンの排除性能の検証を行う。
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Research Products
(13 results)