2020 Fiscal Year Annual Research Report
Realization of High-Intensity Pulsed-Muon-Beam Diagnosis under Harsh Environments
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20H01936
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
上野 一樹 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (20587464)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 素粒子実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
J-PARCで実施する計画のミューオン電子転換過程探索実験(COMET)は10^-16以下の分岐比感度を目指しており、この達成には世界最大級大強度パルスミューオンビームの実現および最適化が必須である。最適化には専用のビーム診断が必要不可欠であり、そのための高分解能検出器開発を進めている。しかし、これまでにない大強度ビームであるが故、取得ビームレート最適化のためのジオメトリ構築、検出器の放射線耐性の確保、粒子識別手法の確立が課題となっている。 この確立に向け、(1)ヒットレート低減のためのビームブロッカー開発、(2)信号処理システムの耐放射線化、(3)粒子識別手法の改良の3つの研究を並行して進めた。 (1)については、ビームブロッカーにより検出器のヒットレートを2桁以上下げる必要がある。シミュレーションスタディを進め、ブロッカーのデザインを進めた。これを基に今後プロトタイプを製作し、ビームを用いた性能評価を進める予定である。 (2)については、中性子によるシングルイベント効果対策、ガンマ線によるトータルドーズ効果対策をこれまで研究してきており、その結果を踏まえて実機信号処理システムのデザインを完了させた。製作も進め、実機へのガンマ線照射試験を行ったところ、個々のパーツではガンマ線耐性を持つが、回路基板に組み込むことで耐性を持たないパーツがあることが判明し、それを基にさらなる調査、対策を行った。をれを基に、実機再デザインを行い、製作へと進めた。今後は完成させ、性能評価を経て、システム完成を目指す。 (3)については、シミュレーションスタディにより、既存の検出器群に加え、新たなファイバー検出器を導入すると識別効率が向上することがわかっていたが、それを踏まえ、さらなる改良案や、実際の設置案の構築などを進められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
放射線耐性パーツにおいて、実機組み込みの際に問題はあったものの、即座に解決することができ、当初の予定に対して、おおむね順調に進んだと考えている。他の研究項目においても、特に大きな問題も生じておらず、おおむね順調に進んだと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで通り、研究計画にそって研究を進める予定である。ただし、特に電子回路基板において、世界的な半導体不足が問題になっているため、その対応策も考慮しつつ、バックアッププランも用意して計画を作る予定である。
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Research Products
(2 results)