2020 Fiscal Year Annual Research Report
A new scenario of dust growth in protoplanetary disks explored through large-scale direct numerical simulations of turbulence
Project/Area Number |
20H01948
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
石原 卓 岡山大学, 環境生命科学研究科, 教授 (10262495)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥住 聡 東京工業大学, 理学院, 准教授 (60704533)
梅村 雅之 筑波大学, 計算科学研究センター, 教授 (70183754)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | ダスト成長 / 乱流 / 大規模直接数値計算 / 原始惑星系円盤 / 微惑星形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
乱流の大規模直接数値計算(最大格子点数12288の3乗)によるデータを用いて、2次の速度構造関数ついて調べた結果、従来観察されていたベキ則の係数はレイノルズ数(粘性)に依存するものであり、十分に高いレイノルズ数の乱流に想定されるベキ則とは異なる可能性があることが分かった。また、高レイノルズ数乱流の直接数値計算において、積分長程度の大きさでテイラー長程度の厚さの薄い剪断層が観察され、そこではエネルギー散逸が平均の10倍程度と高いことが示されていた(Ishihara, Kaneda, Hunt, Flow Turbul. Combust. 2013)が、この乱流構造を考慮したモデルによって乱流中の最大エネルギー散逸率のレイノルズ数依存性を定量的によく説明できることが分かった。以上は、原始惑星系円盤のガス乱流のようにレイノルズ数の非常に高い乱流を考察する上で重要な知見を与えるものであり、高レイノルズ数の乱流現象を解明するためには、乱流のさらなる大規模な直接数値計算を用いた数値実験が必要であることを説明するものである。 一方、乱流の直接数値計算のデータを用いてダスト粒子の運動(クラスタリングと衝突過程)についての数値解析も実施した。その結果、従来強い渦が慣性を持った粒子を渦中心から排出することが知られていたが、強い渦はその周りに形成される薄い領域に粒子を集める性質があることを明らかにした。薄い領域に集中した粒子同士の相対速度は小さいことも分かった。以上は、今後、粒子の過度な集中が起きる領域や粒子が低速衝突できる領域を考える上で重要な知見になると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では原始惑星系円盤乱流におけるダスト成長のシナリオを2つの可能性を考えている。1つは高レイノルズ数乱流中の階層的な渦構造とその中で衝突・付着成長するダストの運動の特徴により、衝突破壊問題が回避できる可能性があるというシナリオであり、もう一つは高レイノルズ数乱流中で運動するダストが乱流中で重力不安定を起こしうる程度に高濃度に集中する可能性があるというシナリオである。これらのシナリオを検証するためには、大規模な乱流の直接数値計算で十分に多数の慣性粒子を追跡する数値実験を行う必要がある。これまで、同時に追跡できる粒子の個数が512の3乗個の8セットに限られていたが、コードの改良(8バイト整数型の使用、ソートプログラムの改良)および最適化(追跡する粒子数に応じた最適並列数の選択)により、1024の3乗個の8セット以上の粒子追跡を可能にした。また、富岳を用いた乱流の直接数値計算コードの性能評価を行い、プロダクトランを実施するための準備を進めた。
|
Strategy for Future Research Activity |
原始惑星系円盤乱流におけるダスト成長の2つのシナリオを検証・考察するため、乱流の大規模直接数値計算で十分に多数のダスト粒子を追跡する数値実験(目標は格子点数8192の3乗、追跡粒子数2048の3乗8セット)を実施する。コードは2020年度に開発・改良したものを用い、計算は富岳を用いて行う。得られる粒子データと乱流場のデータを解析し、乱流の階層的な渦構造のどのような場所でどのような衝突がどのような頻度で起きうるのかを明らかにする。また、粒子濃度についての統計的解析を実施し、重力不安定がおきる可能性を議論する予定である。
|
Research Products
(13 results)