2022 Fiscal Year Annual Research Report
A new scenario of dust growth in protoplanetary disks explored through large-scale direct numerical simulations of turbulence
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20H01948
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
石原 卓 岡山大学, 環境生命科学学域, 教授 (10262495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥住 聡 東京工業大学, 理学院, 准教授 (60704533)
梅村 雅之 筑波大学, 計算科学研究センター, 教授 (70183754)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ダスト成長 / 乱流 / 大規模直接数値計算 / 原始惑星系円盤 / 微惑星形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
原始惑星系円盤のダスト成長の新シナリオ構築のため乱流の大規模直接数値計算(DNS)を活用した研究を進めている。本研究では高レイノルズ数の乱流 (格子点数4096の3乗、Re=36500) のDNSにおいて、膨大な数(2048の3乗個×慣性の大きさの異なる8種類)の慣性粒子の運動を追跡し、渦度の強さと慣性粒子の付着率に負の相関があることを確認し、渦から弾き出された場所でダストの低速衝突が起きうることを示唆する結果を得た。衝突相対速度が大きいため付着率が小さいと思われていたサイズの大きい粒子ほど、この相関が特に強いことから慣性の大きい粒子が渦から弾き出されて集中する非アクティブ領域においてダストが寡占的に成長する可能性が示唆された。そこで、付着成長が進む領域において慣性粒子の運動を解析した結果、乱流による慣性粒子のクラスタリング効果によって、粒子密度が最大で平均の数十倍になり、低速での衝突数が多い領域が存在することが分かった。また、高レイノルズ数乱流では渦クラスタ構造が形成され、その内外での渦度の強さによる領域の二極化が進んでいることを確認した。そして、高レイノルズ数乱流の渦度の小さい領域における粒子の運動では特に系全体の付着率に比べ、かなり高い付着率が得られること、および、このような領域では、付着成長して大きくなった粒子の増加率が高く、粒子が寡占的に成長する可能性が高いことが分かった。なお、乱流による慣性粒子のクラスタリング効果で渦度の小さい領域に一旦集中した粒子はその後の相対拡散が、平均的な相対拡散より抑制されることを示す結果を乱流DNSによる粒子の時系列データの解析から得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高レイノルズ数乱流の大規模直接数値計算中で膨大な数の慣性粒子の運動を追跡してデータ解析を行なった結果、乱流によるクラスタリング効果で渦度の弱い領域に集中した慣性の大きい粒子が低速で衝突して寡占的に成長しうることを示唆する結果を得ていたが、そのような低速衝突が起き続けるかどうかは不明であった。しかし、高レイノルズ数乱流中で慣性粒子の衝突付着成長の大規模なシミュレーションが実施可能となり、そのコードを用いて数値実験したところ、衝突付着して成長した粒子ほど粒子数の増加率が高く、寡占的に成長していることを示す結果を得ることができた。これは、従来の乱流中のダストの衝突付着の成長のシナリオでは完全に考慮されていなかった機構であり、衝突破壊問題を回避する新しいシナリオとなりうるものである。
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Strategy for Future Research Activity |
高レイノルズ数乱流中で慣性粒子の衝突付着成長の大規模なシミュレーションにより、衝突付着して成長した粒子ほど粒子数の増加率が高く、寡占的に成長していることを示す結果を得ることができている。今後は、このようなことが起きる物理的な機構を追加のデータ解析によって明らかにし、原始惑星系円盤乱流中のダスト成長が衝突破壊問題を回避できる新しいシナリオを提示することが目標として研究を推進する。
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Research Products
(8 results)