2022 Fiscal Year Annual Research Report
スパースモデリングによるALMA望遠鏡イメージングの新展開
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20H01951
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
池田 思朗 統計数理研究所, 数理・推論研究系, 教授 (30336101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 陽一 名古屋大学, 理学研究科, 教授 (10608764)
本間 希樹 国立天文台, 水沢VLBI観測所, 教授 (20332166)
小杉 城治 国立天文台, 天文データセンター, 准教授 (90290882)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ALMA望遠鏡 / 電波干渉計 / イメージング / スパースモデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
国際プロジェクト、イベント・ホライゾン・テレスコープ(EHT)は2019年4月、2022年5月にそれぞれM87楕円銀河と天の川銀河の中心にある巨大ブラックホールシャドウの画像を発表した。EHTは地球規模の巨大な電波干渉計であり、この撮像のために日本チームが中心となってスパースモデリングを用いた新たなイメージング法を開発した。この方法は新たな電波干渉計イメージング法として期待されている。本研究ではチリにある高性能電波干渉計であるALMA望遠鏡のために、スパースモデリングに基づく専用のイメージングのソフトウェア環境を構築することが目的である。ALMAはEHTに望遠鏡が多いためデータ量も多く、イメージングのための計算量が多い。一方でEHTに比べて雑音が少ないため、シンプルなアルゴリズムでも十分に良い画像が得られる。初年度は,イメージングの最も大事な撮像アルゴリズムの部分を高速化した。2021年度はソフトウェアのプロトタイプを公開し、既存のCLEAN法と比較して本手法の結果が良いのかという点を天文学者との共同研究を通じて検証した。その結果、既存の方法を改善するものとなりうることを確認している。2022年度はアルゴリズムの高速化とインストール環境の改善を行った。 電波干渉計では、望遠鏡ごとに感度と位相が時々刻々変化する。このゲインと呼ばれる量を望遠鏡ごと調整しなければ正しい画像は得られない。ゲインの調整はセルフ・キャリブレーションと呼ばれる。2021年度は本研究の一環としてセルフ・キャリブレーションの新たなアルゴリズムを開発した。新たなアルゴリズムは十分高速に動作するため、このアルゴリズムを実装し、検証を行った。2022年度はこの新たなアルゴリズムの検証を詳細に行った。この結果については昨年度より論文を執筆中である。他にも共同研究を通じた論文の執筆を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度に開発したアルゴリズムをプロトタイプのソフトウェアとして公開し、共同研究を通して検証した結果、実用上十分に使えることがわかった。このことからイメージングの最も大事な撮像アルゴリズムの部分は順調に動作していることがわかり、本研究課題の進捗は順調であると考える。2022年度はアルゴリズムのインストール手順にも手を加え、様々な研究者に使ってもらう環境を整えた。ソフトウェアのユーザーは順調に増えている。2022年度には、セルフ・キャリブレーションのアルゴリズムも十分に高速に動作することを確認し、実際の干渉計のデータによって検証を行った。2022年度から執筆中の論文は完成まじかである。以上より、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今回提案するプログラムの名前は PRIISM である。この新たなソフトウェアを広く普及させるには、既存方法のCLEANと同等以上の結果が得られることが求められる。また、十分に高速であることも必要である。これまでのアルゴリズムの更新によって、当初よりも10倍以上の高速化を実現している。また、ソフトウェアの普及のために、ソフトウェアのインストール環境とマニュアルの整備を行った。天文学的に十分に信用できる結果を得られるかについては、共同研究を通した検証は十分に進んでいる。この後も具体的な天文学の成果に結びつけるべく共同研究を通じて検証を続けていく。 電波干渉計のイメージングでは、望遠鏡の感度(ゲイン)が常に変動していることを考慮し、そのゲインを時々刻々と矯正するセルフ・キャリブレーションを用いるのがよくある方法である。2021年度はセルフ・キャリブレーションについても新たな方法を提案し、高速化も行った。この新たなセルフ・キャリブレーションは公開されているデータを使った検証で動作を確認したが、この結果を論文化し、共同研究を通した手法の検証を行って問題点を洗い出す。
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