2020 Fiscal Year Annual Research Report
Clarification of dynamical coupling processes in the middle atmosphere and establishment of the accurate general circulation picture
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20H01973
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
廣岡 俊彦 九州大学, 理学研究院, 教授 (90253393)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河谷 芳雄 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(環境変動予測研究センター), 主任研究員 (00392960)
渡辺 真吾 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(環境変動予測研究センター), センター長代理 (50371745)
江口 菜穂 九州大学, 応用力学研究所, 助教 (50378907)
岩尾 航希 熊本高等専門学校, リベラルアーツ系理数グループ, 准教授 (80396944)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 気象学 / 中層大気 / 大気大循環 / 再解析データ / 数値シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題1年目に当たる令和2年度は以下の4項目の研究成果を挙げることができた。 ・成層圏及び下部中間圏の力学場に関し、再解析データ間の定量的な比較を、衛星観測データの解析結果の比較と合わせて行い、再解析データの信頼度や問題点、衛星観測温度データを用いた東西風の見積もりの有用性を示した。特に、赤道域の10hPaより高高度で再解析間の相違、および観測との差が顕著になっており、この結果は、数値モデルに観測データを取り込んで再解析データを作成する際の観測データの束縛が弱いことに起因しているものと考えられる。成果をまとめ学術論文として発表した。 ・冬季北半球中層大気における大規模波動について、衛星データと再解析データを用いて解析を行い、対流圏から上方に伝播してきた準定常波の中上部成層圏における収束と、その結果背景場に生じた不安定による東進波生成による発散が、背景場に逆の効果をもたらしていることを明らかにした。成果をまとめ学術論文として発表した。 ・再解析データおよび衛星観測データを用いて、2019年9月に南半球で発生した成層圏突然昇温現象の生起機構について詳細に調べ、東西波数1のプラネタリー波の寄与を定量的に示した。並行して、突然昇温発生時の熱帯域の積雲対流活動および微量気体成分に関する解析を実施した。 ・北半球冬季中層大気について、非常に強い極夜ジェットが継続した2019/2020年冬季と、大規模成層圏突然昇温が長く持続した2020/2021年冬季の比較を、再解析データを用いて行い、前者では中部成層圏におけるプラネタリー波の下方伝播が、後者では、プラネタリー波の上部成層圏にまで達する断続的な上方伝播がそれぞれ寄与し、循環場の大きな違いをもたらしていることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中層大気の力学場について、再解析データ間の比較を、衛星観測データの解析結果との比較を含めて行い、その特徴を定量的に示すことができた。また、冬季北半球中層大気における大規模波動について、定常波と不安定波の、背景場に対する相反する効果について明らかにすることができた。さらに2019年9月に南半球で生じた成層圏突然昇温現象の生起機構や熱帯域の積雲対流活動への影響、2019/2020年と2020/2021年の北半球冬季中層大気の循環場とプラネタリー波の関係に関しても研究が進展し、これらの成果を、学術論文や国内外の研究集会で発表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、2020年度に得られた成果に基づき、以下の項目を中心に研究を進める。 ・2021年度中に、気象庁の新しい再解析データJRA-3Qのサンプルデータが公開される予定なので、直ちに入手し、温度場、風の場、等圧面高度場の基本物理量に加え、残差平均子午面流、EPフラックス、波活動度フラックスなどの高度物理量について、日平均値、月平均値を、帯状平均、波動成分に分けて計算する。従来の再解析データ及び衛星観測データの結果と比較し、差異を評価する。 ・衛星観測データをupdateし、再解析データと同様の物理量の計算を行う。同時にオゾン、水蒸気などの微量成分場についても解析を進める。 ・大気大循環モデルを用いて、再解析データ間の相違に関する感度実験を行うために、初期条件の設定を検討する。
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Research Products
(33 results)