2021 Fiscal Year Annual Research Report
インドシナ半島周縁海域に存在する小島嶼は哺乳類固有種の創出機関であるのか?
Project/Area Number |
20H01979
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
押田 龍夫 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (50374765)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 秀紀 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (30249908)
本川 雅治 京都大学, 総合博物館, 教授 (30293939)
川田 伸一郎 独立行政法人国立科学博物館, 動物研究部, 研究主幹 (30415608)
福井 大 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 講師 (60706670)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 生物地理学 / 系統地理学 / 小型哺乳類 / インドシナ半島 / 島嶼個体群 / リス科齧歯類 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度においては、2020年度に続いてコロナ禍での海外渡航が厳しく制限され、かつ調査を予定していたミャンマーで軍事クーデターが勃発したため、研究目的であったインドシナ半島の東部(ベトナム)および西部(ミャンマー)の島嶼 域における小型哺乳類の捕獲調査を十分に実施することが困難であった。特に、ミャンマーでは調査再開の目処が立たず、計画していた捕獲調査を全て中止とし、代わりにベトナムの島嶼域において可能な範囲で調査を実施した(海外渡航が困難であったため小型哺乳類の捕獲調査については実質的にベトナムの研究協力者へ委ねることとなった)。 インドシナ半島東部に位置する島嶼において、リス科齧歯類を中心とした小型哺乳類の採集調査を実施し、これらの系統地理学的な解析を行なった結果、ベトナム南部のタイ湾内に位置するホンニャ島において、タイワンリス属のフィンレイソンリスの新亜種を発見し、これを学術雑誌へ記載報告した。また、ベトナム中部のラオ島において、特異的な毛色パターンを示すフィンレイソンリスの個体群を発見し、これも学術雑誌へ発表をした。その他、学術雑誌への掲載発表には至っていないが、ベトナムの北部から南部にかけて存在する複数の島嶼において、小型哺乳類の捕獲調査を実施し、島嶼に生息する齧歯類、トガリネズミ類、コウモリ類等の動物相について基礎的な情報を収集することができた。ベトナムの島嶼環境において、リス科齧歯類の固有亜種および特有の毛色を持った個体群が発見されたことから、インドシナ半島周縁島嶼域は少なくとも固有個体群を創出する環境を有することが示唆された。 これらの成果に加えて、島嶼部との比較検討に重要なインドシナ半島部における小型哺乳類の系統地理・動物地理に関する調査を引き続き実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
調査地として予定していたミャンマーで軍事クーデターが勃発し、渡航が出来なくなってしまったため、インドシナ半島西部周縁島嶼域における調査継続の目処が立たなくなった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の配分予算を用いて、インドシナ半島東部周縁域島嶼における小型哺乳類の調査を詳細に実施することとした。そして、ミャンマーの政治状況が変化し、渡航が可能になった際には2022年度に集中的にインドシナ半島西部周縁域島嶼における小型哺乳類の採集調査を行うこととした。
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