2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20H01990
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
坂本 直哉 北海道大学, 創成研究機構, 助教 (30466429)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯塚 毅 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (70614569)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 水素 / イメージング / 同位体 / 質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
水素をイメージング可能な同位体顕微鏡の二次元イオン検出システムを高ダイナミックレンジ化する手法を開発し、固体物質表面の多量の水素と極微量な水素を同一視野において同時にイメージング可能とする。 本年度は、昨年度までに開発した選択的画素リセットを行うイメージングシステムを用いて、実際の隕石に含まれる難揮発性包有物を分析した。同一視野内の鉱物間で数桁の濃度分布が分かっているマグネシウムとアルミニウム同位体をイメージングした。通常、数分で画素キャパシタが飽和して信号が取得不可になる条件において、画素を飽和させずに6時間以上の分析が可能であることが分かり、6桁を超えるダイナミックレンジのイメージングが可能となった。今後は、基本動作の精度をブラッシュアップしつつ、水素の高ダイナミックレンジイメージングを実行する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度までに、基本的な機能が実装されたため、実際の隕石試料を分析して動作確認を行った。 (1)開発した選択的画素リセット動作ソフトウェアを用いて、実際の隕石を分析した。(2)動作試験として、隕石中の難揮発性包有物について、スピネル、アノーサイト、ファッサイト、メリライトなどの局所的な元素存在度の差が大きい鉱物が同一視野内に混在する100ミクロン程度の領域のマグネシウムおよびアルミニウム同位体のイメージを取得した。(3)取得したイメージから、リセットする画素としない画素を信号強度の閾値を指定して判別し、FPGAコードを自動生成してマップ化した。(4)生成したマップを元に、強い信号が入射する画素は5秒おきにリセットし、その他はリセットせずに信号を蓄積し続けた。(5)強い信号強度の画素をリセットしない場合は1分程度で飽和レベルに達して分析できなくなる所を、6時間以上にわたって分析し続ける事ができた。(6)最終的に、6桁以上に及ぶダイナミックレンジを持つイメージの取得に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
実試料のイメージングに成功し、6桁を超えるような高ダイナミックレンジの同位体イメージの取得が可能となった。 今後は、昨年度までに浮上した以下の基本動作の精度をブラッシュアップしていくとともに、本研究の目指す水素の高ダイナミックイメージングを行う。 (1)リセットする画素が1つ右隣の画素の出力信号のオフセットに影響すること(2)リセットあり画素となし画素の出力特性の補正方法の開発(3)リセットの有無を決める閾値を統計的に必要な定量性と分析時間を鑑みてどう設定するか(4)リセット画素の入射イオン信号量に対する線形応答性の取得
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