2020 Fiscal Year Annual Research Report
The sulfur 4-isotope study for environment of the early Earth
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20H01999
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
牛久保 孝行 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 主任研究員 (10722837)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小宮 剛 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (30361786)
清水 健二 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 主任研究員 (30420491)
上野 雄一郎 東京工業大学, 理学院, 教授 (90422542)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 硫黄同位体 / 硫化鉱物 / 海底熱水鉱床 / 二次イオン質量分析計 / SIMS |
Outline of Annual Research Achievements |
二次イオン質量分析計(SIMS)を用いて高精度の局所硫黄同位体比分析法を確立し、地質試料から太古代の表層環境の変動や堆積物中の微生物活動を読み解くことを目指している。 初年度は約3ミクロンの分析領域で黄鉄鉱(FeS2)試料の硫黄2同位体比(34S/32S, d34S)を+/-0.4‰(2SD)の精度で分析する手法を確立し、海洋研究掘削で回収された沖縄トラフ海底熱水鉱床試料について黄鉄鉱結晶粒子の形状や存在量と同位体比の比較研究を行い、鉱床形成のごく初期段階では非常に低い硫黄同位体比(d34S<-20‰)を持つ細粒(粒径数ミクロン)のフラムボイダル黄鉄鉱が形成され、鉱床の成熟に伴い同位体比変動が小さく(d34S~0‰)粗粒(粒径20ミクロン以上)で大量の硫化鉱物が形成される事が示された。これは、微生物が行う硫酸還元作用(海水や堆積物中の間隙水に含まれる硫酸イオンから硫化鉱物を生成する反応)で形成される黄鉄鉱微粒子が核となり、その後無機的な反応によって鉱床成長が進行していることを示している。この成果は査読付き国際誌に論文発表(Nozaki et al., 2021)したほか、国内・国際会議において口頭発表を行った。 その他、初期地球の大気組成変動を調べるために10~20ミクロンの分析領域で黄鉄鉱の硫黄4同位体比情報(34S/32S, 33S/32S, 36S/32S)を取得する為の分析法や、マントル深部や沈み込み帯における揮発性物質循環を調べるためにメルト包有物に微量(~0.1%)に含まれる硫黄成分の2同位体比情報を取得する為の分析法の開発を行い、その暫定的な成果を国内会議において口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
世界的なコロナウイルスの蔓延によって地質調査活動や研究施設での作業が著しく制限されたため、同位体比分析に向けた試料の選抜、観察、加工の各工程に遅れが生じてしまった。特に地質調査活動が行えなかったために研究試料の再検討が必要となった事が遅れの大きな要因となった。リモートで研究方針の議論を行い、最低限の実験室での活動で同位体比分析に向けた試料加工と観察を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
地質調査の制限のために新規の研究試料を取得出来る見込みが立たない事から、研究協力者らがこれまでに採取してきた試料の中から目的に適う研究試料を選抜して研究を継続する。堆積岩中の硫化鉱物の硫黄同位体比分析を重点的に行い、地球表層の酸化還元状態の変動に関する研究を推進する。Zoom等のリモート会議システムを活用して試料の状態や進行状況の連絡を密に行い、研究協力者の相互の往来が無くても分析が行える体制を確立する。
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Research Products
(5 results)