2022 Fiscal Year Annual Research Report
The sulfur 4-isotope study for environment of the early Earth
Project/Area Number |
20H01999
|
Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
牛久保 孝行 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 主任研究員 (10722837)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小宮 剛 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (30361786)
清水 健二 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 主任研究員 (30420491)
上野 雄一郎 東京工業大学, 理学院, 教授 (90422542)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 二次イオン質量分析計 / SIMS / 硫黄同位体 / 硫化鉱物 |
Outline of Annual Research Achievements |
二次イオン質量分析計(SIMS)を用いて高精度の局所硫黄同位体比分析法を確立し、地質試料から太古代の表層環境の変動や堆積物中の微生物活動を読み解くことを目指している。 令和4年度は火成岩試料や金属鉱床試料研究で必要となる二種類の硫化鉱物(Pyrrhotite [Fe1-xS]とChalcopyrite [CuFeS2])のSIMS用標準試料を確立した。この成果は国内研究会で発表し、令和5年度からは天然試料の研究に活用する予定でいる。また、硫酸塩成分を含む炭酸塩鉱物(CAS)の標準試料を探す取り組みも継続して行う。 プレートの沈み込みに伴って地球深部に沈み込んだ揮発性物質の挙動は、火成岩の硫黄同位体比変動から推定することが出来る。火成岩のオリビン結晶に取り込まれた火山ガラスの硫黄同位体比組成の特徴から、九州地域の南部と北部の火山では沈み込んだ揮発性物質の寄与量が異なる事が明らかになり、それぞれの地域でマグマ形成領域に供給された流体の形成深度が異なっていたことが明らかになった。この成果を査読論文として発表し、国内外の研究会でも発表した。 大型の多細胞生物が多く出現するエディアカラ~カンブリア紀の堆積岩試料の硫化鉱物の硫黄同位体比の分析を実施し、堆積岩組織と硫黄同位体比、微量元素組成情報を組み合わせて海洋の酸化還元状態や堆積環境を探る研究を実施した。一部試料の成果については国内外の研究会で発表を行い、投稿論文原稿も準備中である。本研究には複数の研究グループが関わっており、令和5年度も引き続き分析研究を継続する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウイルスの蔓延防止対策のために調査活動と共同研究者の往来が著しく制限され、十分な調査・研究を行うことが出来ていない。令和4年度には高知に共同研究者を招聘し、局所同位体比分析を行うために必要な分析試料の観察法や加工法を指導することが出来た。その後、共同研究者の許で研究試料の加工が進んでおり、令和5年度にこれらの試料の分析を行うことを予定している。
|
Strategy for Future Research Activity |
太古代の堆積岩や火成岩試料、カンブリア紀前後の堆積岩試料、現在の火山起源のメルト包有物試料共に同位体比分析に向けた試料の加工がほぼ終了しており、令和5年度の前半に集中的に硫黄同位体比データを取得し、各試料の硫黄同位体比の特徴を明らかにする。 大気中の光分解による硫黄同位体比分別効果の文献値や、現在の地球表層物質(主に海水、堆積物、マントル物質)の硫黄同位体比と比較し、初期地球の大気組成や初期生命の代謝活動、テクトニクスによる沈み込み物質の影響に関しての議論をまとめる。
|
Research Products
(10 results)