2021 Fiscal Year Annual Research Report
Effect of deviator stress on polycrestal anelasticity at near solidus temperatures and seismological observability of very small amount of melt
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20H02004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武井 康子 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (30323653)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 非弾性 / 差応力 / 裁荷速度 / 粒界滑り / 粒界クラック |
Outline of Annual Research Achievements |
本本研究では、高温の岩石の非弾性特性に対する差応力の影響を調べることが目標であるが、その前提として、差応力のない状態での多結晶体試料の非弾性特性については十分に解明されている必要がある。このために必要な準備として、本研究に用いる実験試料に関して、不純物が非弾性特性に与える影響の解明を行い、その結果をまとめた論文が公表された。この研究を通して、本課題の実験に不可欠となる高純度かつ等粒状の試料の作成方法が確立できたため、本研究を行う上で重要な成果である。また、地球内部においては不純物の影響は避けられないため、わずかな不純物が非弾性特性を大きく変えることを示した本研究は、地球科学的に重要な貢献となった。
購入した小型レーザー変位計を用いて、差応力下で試料を変形しながら、試料の非弾性を非破壊的にその場測定できる実験装置が完成した。実験試料に近い物性を持つアクリル試料を用いてキャリブレーションを行った結果、ピストンとベアリングの摩擦力によって、変位計自体の変位が生じることがわかった。この影響は補正しないと誤差になるが、内部ロードセルと外部ロードセルのデータを用いることでこの摩擦力を計算することができ、変位計自体の変位を適切に補正する方法を確立できた。またステンレススプリングを用いたキャリブレーションを行い、計測器の時間遅れの補正法も確立できた。
粒界での応力集中を予測できる既存の粒界滑りモデル(摂動法を用いた解析的な理論モデル)を応用し、応力集中や粒界滑り変位の計算ができるように理論を拡張した。また、粒界滑りモデルの理解に貢献できる、有用な近似解を得ることができた。さらに、既存の準1次元の粒界すべりモデルを、二次元に拡張することにも成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験については、不純物の影響の解明が必要になって苦心したが、最終的には試料の作成方法が確立でき、また、不純物の影響の解明によって地球科学的な貢献もできたため、良い成果が得られたと言える。粒界の応力集中の計算については、既存の準1次元粒界滑りモデルを用いるのみならず、準1次元モデルの解析解(摂動解)の新しい近似方法の発見や、二次元への拡張などを行うことができ、当初の計画以上の進展があったと言える。実験の進行という点では、試料準備が遅れたために、進行がやや遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
実験装置が完成できた。今後は、試料を用いた変形実験を行う。裁荷速度を系統的に変えた実験を行なって非弾性のその場測定を行い、粒界での応力集中の緩和によって粒界の破壊が抑制されるかどうかを調べる実験を行う計画である。
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Research Products
(3 results)