2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20H02020
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
川口 慎介 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究プログラム), 副主任研究員 (50553088)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井尻 暁 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(高知コア研究所), 主任研究員 (70374212)
上野 雄一郎 東京工業大学, 理学院, 教授 (90422542)
松井 洋平 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭技術開発プログラム), 特任技術副主任 (90756199)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 炭化水素 / メタン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、熱分解に起源を有する低分子炭化水素が呈する同位体システマチクスを実験および観測で解明することを目的とする。非生物天体における有機物合成経路として知られる非生物炭化水素合成(abiotic syntheis)や、嫌気環境で普遍的に見られる微生物メタン生成(microbial methanogenesis)に注目が集まる中、それら対象に対する「コンタミ」として扱われる熱分解起源炭化水素類の特徴を十分に調査することが、本研究の目的である。本年度は、熱分解炭化水素生成実験により、基質・反応温度・反応時間を変数とする情報から同位体システマチクスを支配要因まで掘り下げて検討することを目指した。具体的には、ディクソン型実験装置を用いて熱分解炭化水素を実験的に生成するため、反応基質としてリグニンおよびオクタデカンの2種を利用した。反応基質1g程度に対し超純水50gを封入し、既知の海底熱水活動に近い条件で実施した。採取した試料は、真空引きした30mLバイアル瓶に封入し、ただちにGC-FIDを用いてLHC濃度を定量し、同位体分析に十分な量となるよう以降の採取量を調整した。採取試料の炭素同位体比(13C/12C比)および水素同位体比(D/H比)を分析した。以上の実験および分析については、海洋研究開発機構横須賀本部で実施した。メタンの多重置換同位体分子組成(13CDH3/12CH4)および分子内部位別同位体組成(13C12C12CH8 / 12C13C12CH8)の分析については、それぞれ神戸大学(研究分担者である井尻が担当)ならびに東京工業大学(研究分担者である上野が担当)にて実施した。また採取試料の分析に先立って、各種同位体分析の最適条件を検討する実験を各拠点で行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
熱分解炭化水素生成実験を行い、生成物の化学分析を進めることが出来ている。計画時に想定した程度の炭化水素が、計画時に想定した程度の時間スケールで生成しており、実験計画のワークフローを順調に進めることが出来ている。生成物の安定同位体比分析においては、特段の機器不具合に見舞われることもなく、当初の想定通りのペースで試料処理を進めることが出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
熱分解炭化水素生成実験および実験生成物の安定同位体比分析については順調に進められており、今後は異なる実験条件下による生成実験並びに同位体比分析を進める。次年度以降はコロナ禍による移動制限も緩和されると考えられ、実験とともに本研究の根幹をなす火山ガスあるいは温泉付随ガスに含まれる熱分解炭化水素類の採集を進め、その同位体比分析を実施する。
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