2020 Fiscal Year Annual Research Report
異相界面における疲労破壊のエンブリオ形成メカニズムの解明
Project/Area Number |
20H02024
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
下川 智嗣 金沢大学, 機械工学系, 教授 (40361977)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新山 友暁 金沢大学, 機械工学系, 准教授 (00583858)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 粒界 / 疲労強度 / 分子動力学 / 繰返し変形 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は原子シミュレーションを用いて世界最大規模の繰返し荷重下における「異相界面」と「固執すべり帯(PSB) を構成する転位」 の相互作用シミュレーションを実施し,異相界面での転位の侵入・分解・通過の重畳現象により生じる疲労破壊のエンブリオ (核形成の起点) の形成機構を解明することである.2020年度は繰返し変形が粒界近傍の塑性現象に及ぼす現象を双結晶モデルを用いて検討した.双結晶を構成する片方の結晶のみに予負荷を加え粒内転位を導入し,その後,無欠陥の結晶粒と結合させることで双結晶モデルを作成した.このとき,粒内転位を有する結晶粒の大きさを変化させ,繰り返し変形下における粒内転位の発展の粒径依存性も検討した.双結晶モデルに10サイクルの繰返し変形を加え(無欠陥粒に塑性変形が生じない程度のひずみ振幅),その後,単軸引張変形を実施した.得られた結果として,粒界から無欠陥粒への転位放出に要する応力が粒径依存性を示した.つまり,粒内転位を有する結晶粒径が大きくなるほど,降伏応力は小さくなった.これは繰返し変形中の粒内転位の組織変化が影響している可能性を見出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単相系の粒界近傍の塑性現象に対する繰返し変形の影響を分子動力学シミュレーションで検討できることを確認でき,異相界面を対象とした繰返し変形の解析が着実に実施できる状況になっている.
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Strategy for Future Research Activity |
異相界面と転位集団の相互作用シミュレーションを実施する.単軸負荷条件と繰返し負荷条件における異相界面内の欠陥発展を比較し,繰返し変形が異相界面での転位の侵入・分解・通過の重畳現象により生じる幾何学的ミスフィッ トの形成に及ぼす影響に着目し,疲労破壊のエンブ リオ形成との関係性を調査する. また,繰返し荷重下における粒内転位運動に関する統計性(すべりに参加する原子数変化や,弾性場を介して変化する転位配置)に着目し,異相界面の欠陥発展と粒内転位転位の統計性の関係性を調査する.
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