2021 Fiscal Year Annual Research Report
骨固定用金属製インプラントの超異方的剛性機能設計のための指導原理
Project/Area Number |
20H02036
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
仲井 正昭 近畿大学, 理工学部, 教授 (20431603)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 衛 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (00309270)
京極 秀樹 近畿大学, 次世代基盤技術研究所, 教授 (10258056)
植木 洸輔 近畿大学, 理工学部, 助教 (10845928)
坂田 誠一郎 近畿大学, 理工学部, 教授 (80325042)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 生体材料 / チタン合金 / 金属積層造形 / 結晶方位配向 / ヤング率 / 力学的特性 / 異方性 / インプラント |
Outline of Annual Research Achievements |
骨固定用金属製インプラントの剛性は、骨修復中とその後とで適正値が異なり、骨修復中は高剛性、骨修復完了後は低剛性のほうが適切であることが実験的に示唆されている。さらに、この骨修復状況に依存した金属製インプラントの剛性の適正値の変化は力学的負荷方向に依存し、骨修復中は骨のねじり方向、骨修復後は軸方向の剛性が重要であると考えられる。そこで、本研究では、骨のねじり方向に高剛性であり、軸方向に低剛性となるように、意図的に大きな剛性異方性を付与した金属製インプラントの作製を試みる。この実現のため、材質と形状とを同時に制御することが可能な金属積層造形技術を用いる。昨年度、市販の316Lステンレス鋼を供試材として用い、横方向には高ヤング率となり、縦方向には低ヤング率となるように、面内の直交する二方向の結晶方位を制御し、プレートのヤング率を縦方向よりも横方向に高くすることに成功した。今年度は、結晶構造が体心立方格子(BCC)からなる、市販されていないチタン合金製粉末をガスアトマイズ法およびプラズマ回転電極法を用いて試作し、粒度分布や流動性を評価するとともに、粉末内部のミクロ組織を観察・分析した。その結果、粉末製造法に依存して、各粉末のサテライトの付着状況や真球度が異なっていたが、いずれも金属積層造形に用いることが可能であることを確認した。さらに、粉末内部の気孔の存在割合やデンドライト組織形態が粉末製造法に依存して異なることを明らかにした。ただし、元素分布自体は、いずれの粉末内部においても、BCC安定化元素の濃化部とそれ以外の元素の濃化部とに分かれ、濃化の程度は粉末製造法にあまり依存しないことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
金属積層造形を用いて、市販の合金粉末(316Lステンレス鋼)ではあるが、面内の直交する二方向の結晶方位配向を制御し、横方向のほうが縦方向に比べてヤング率が高いプレートの作製に成功した。さらに、市販されていない合金粉末(BCCからなるチタン合金)を試作し、その粒度分布や流動性を評価するとともに、粉末内部のミクロ組織を観察し、粉末製造法に依存した粉末の特徴を明らかにした。以上のように、新たな合金を用いた造形の準備が整ったことから、おおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度得られた、プレートの横方向と縦方向のヤング率の差をつけるための造形条件、造形方向および試験片切り出し方向に関する知見と、今年度得られた、合金粉末の特徴に関する知見を基に、次年度は、この新たな合金粉末を用いた場合の造形条件を最適化するとともに、造形体を試作し、そのミクロ組織と力学的特性とを評価する。
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Research Products
(17 results)