2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Moire Displacement and Strain Measurement by Three-dimensional Spatiotemporal Phase Analysis
Project/Area Number |
20H02038
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
李 志遠 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (70509710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
王 慶華 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (20726856)
夏 鵬 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 主任研究員 (80768458)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | モアレ法 / 位相シフト / 位相解析技術 / フーリエ変換 / 変位・ひずみ測定 / サンプリングモアレ法 / 時空位相シフト / 材料評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ランダムノイズや空気揺らぎなどの外乱の多い実験環境でもロバストに全視野変位・ひずみ測定を実現するものである。初年度では開発した時空位相シフト法を初めてレーザー干渉計測に応用して精度の良い干渉縞の位相分布計測が行えたことを確認した。とりわけ、レーザー干渉実験で外乱となるレーザ光源の出力の変動(背景輝度と輝度振幅のばらつきを招く原因となる)やPZTの制御精度または外部振動による位相シフト誤差が原因で従来の位相解析では生じる周期的な位相誤差が時空位相シフト法を用いることで、自動的にセルフキャンセルできることを明らかにした。しかし、この場合は連続的に4枚の位相シフトされた縞画像を取得する必要があるため、動的な計測への適用が困難という課題があった。この課題に対して、今年度はさらに偏光カメラを利用したMach-Zehnder型の動的位相計測システムを構築した。偏光カメラを用いることで、シングルショットで同時に偏光状態が異なる4つの位相シフトされた干渉縞を撮影できる。同計測システムにより、ガス噴射時の透明物体の密度変化分布の測定を実現した。また、従来の位相シフト法に比べて、時空位相シフト法が外乱による周期位相誤差が発生しない理由を、複素数平面でそのメカニズムを解明した。具体的には輝度サチュレーションや非線形性などの外乱が発生しても、時間方向で発生している周期的な位相誤差を空間方向で1周期回転させることでキャンセルさせていることを確認できた。外乱が増えると縞画像の輝度振幅の低下となるが、位相誤差は発生しないという極めて優れた位相計算アルゴリズムであることを初めて明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、ランダムノイズや空気揺らぎなどの外乱の多い実験環境でもロバストに全視野変位・ひずみ測定を実現できる光学的計測手法を開発するものである。初年度では、時空位相シフト法をMichelson型とMach-Zehnder型のレーザー干渉計測へそれぞれ適用した。当初の計画ではデジタルカメラを2軸微動ステージで機械的に移動させることを考えていたが、偏光カメラに変更したことで動的な計測が可能となったことが大きな進歩となる。加えて、時空位相シフト法は様々な外乱の影響を受けないことを初めて複素数平面上でそのメカニズムを確認することができ、次年度以降の応用研究に大いに活用できる理論解析の完成に繋がった。これらの達成は当初の計画通り以上のものであったと考える。初年度で得られた研究成果を論文投稿(8件)、学会発表(8件、うち招待講演3件)および特許出願(1件)を行い、順調に実績を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は前年度の研究成果を踏まえて、次の3項目の研究を実施し、マイクロスケールでのひずみ分布計測から大型構造物の変位測定への応用を展開する。
(1) 室外環境でのインフラ構造物の変位測定:鉄道レールの軌道変位計測など室外天気の影響を受けやすい環境において、開発した計測手法による陽炎などの揺らぎの影響をどこまで低減できるかの検証実験を行い、その有効性を確認する。 (2) マイクロスケールにおける異種接合材料の加熱試験中のひずみ分布測定:高温での材料の熱ひずみ計測を実施し、品質管理で重要となる熱残留ひずみ分布をより安定に測定できるようにする。 (3) レーザー干渉による電子部品の高温時のナノオーダーの面外変位測定:レーザー干渉による電子部品の高温発熱時の面外変位測定実験を実施し、熱負荷に対する電子部品の面外方向の変位量を評価する。
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