2021 Fiscal Year Annual Research Report
金属接触面における変形挙動の直接測定による接触モデルの再構築と接触面形状の設計法
Project/Area Number |
20H02046
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河野 大輔 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80576504)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 正雄 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 教授 (00373746)
磯部 浩已 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (60272861)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 接触剛性 / X線CT / 弾塑性変形 / 滑り / 接触減衰 |
Outline of Annual Research Achievements |
金属ー金属接触面を垂直荷重によって締結した状態で,接線方向荷重を負荷した場合の変形解析を,X線CTを用いた実験と有限要素法を用いたシミュレーションの比較により行った.有限要素法を用いて,材料の弾塑性変形と,摩擦係数にもとづいた材料間の滑りを考慮することで,実験と定性的,定量的によく一致するシミュレーション結果が得られることが分かった.そこで,接線荷重ー接線変位の関係におけるヒステリシスループから接触面で散逸されるエネルギーを求め,散逸エネルギーにおける弾塑性変形と滑りの寄与をシミュレーションにより調べた.すると,1μm~15μmの接線変位の範囲では,両者の寄与は同程度であることが分かった.また,実験およびシミュレーションでの真実接触面積は,従来よく想定される塑性変形のみを考慮した真実接触面積よりも2~3倍大きく,弾性変形によって生じる真実接触面積も無視できないことを示している. 昨年度の成果および上記の成果により,接触面における剛性・減衰性を評価するためのモデルが構築できたため,モデルを用いて剛性・減衰性の両立ができる接触面形状の設計を行った.接触面の微小突起に高さ差を設け,高い突起では強い接触,低い突起では弱い接触を生じさせることで,強い接触部で剛性を保ち,弱い接触部で減衰性を向上させるアイデアを考案した.突起の高さ差がある状態で,突起間でのヒステリシスループに違いが見られるかをシミュレートし,想定どおりに低い突起の方が早く滑りが始まることを確認した.このため,突起の高さ分布を設計することで,スティック・スリップの割合を制御できると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有限要素法を用いて接触面の荷重ー変位曲線を求めることができることが分かり,接触面の剛性と減衰性を設計するための方法が確立できた.このため,2021年度の目標としていた減衰性のモデル構築は達成できたと言えるため.また,この成果によって,「問い」の1つに設定していた接触面の減衰性における弾塑性変形と滑りの寄与が明らかになったため.
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Strategy for Future Research Activity |
接触面の微小突起に高さ差を設けることで,真実接触部でのスティック・スリップの割合を変化させ,望ましい剛性・減衰性を得る方法の効果をシミュレーションと実験により検証する.また,考案した方法で想定したとおりの効果が得られない場合は,改善のための調査を追加で実施する.
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