2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20H02047
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
榎本 俊之 大阪大学, 工学研究科, 教授 (20403149)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 研削加工 / 医療機器 / 外科 / 骨切除 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は整形外科や脳外科で頻繁に行われる骨切除術において,良好な術野を確保しながら骨切除時の発熱による生体組織の熱損傷を抑制できる骨切除用研削デバイスを開発することを目的としている.そのためには切除点近傍における温度上昇を生体損傷温度である50℃程度以下に抑制することが必要とされ,これまでの研究により骨の研削加工切りくずの工具表面への付着が決定的な要因であることが明らかになっている.この付着現象のメカニズムについては,影響を与える因子については把握できているものの,その影響の程度や複数の因子が存在する時のメカニズムについては不明な点が多く,結果として,付着を抑制する,つまり温度上昇を抑制するには至っていない. そこで本年度は因子の中でも特に影響の強い水分,具体的には切除点に供給する生理食塩水の振る舞いに着目して,検討した.その結果,切除点における水分量に切りくず付着程度は大きく影響を受け,具体的には,水分がまったくない状態あるいは水分が大量にある状態では切りくず付着はまったく発生しなかった.さらに切りくず状態を詳細に観察したところ,切りくず-工具表面間の液架橋の生成が極めて重要な因子であることがわかった.この結果を考慮し,工具表面の改質を試みたところ,一定の向上を確認できた.また本年度はこれまで検討してこなかった砥粒密度などの研削工具仕様についても調査を行い,液架橋生成という観点で,有効な仕様を見出すに至った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
骨切除における温度上昇のメカニズムを詳細に明らかにでき,骨切除用研削デバイスの仕様を明確にでき,それにもとづく数種の工具開発に成功したため.
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Strategy for Future Research Activity |
骨切りくず付着には液架橋生成が支配的であることがわかったが,この液架橋状態は様々な影響を受けやすく,そこで手術環境を詳細に模擬した環境(低侵襲環境を含む)下での実験を行い,課題の抽出および解決を行う.
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Research Products
(1 results)