2020 Fiscal Year Annual Research Report
Study on Formation of High-performance Metal Mold Surface by EDM with Hybrid Metal Powder Mixed Fluid
Project/Area Number |
20H02050
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岡田 晃 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (60263612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 康寛 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (40304331)
北田 良二 崇城大学, 工学部, 教授 (60540276)
篠永 東吾 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (60748507)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 放電加工 / 粉末混入加工液 / 金型 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では放電加工による表面粗さが小さい硬質クロム炭化物含有表面層の形成を達成し高機能金型仕上げ面の創成を目的としている. まず,放電加工液へのクロム粉末の混入濃度,放電電流値やパルス幅などの電気条件などが放電加工面への硬質クロム被膜形成に及ぼす影響を検討した.その結果,クロム粉末混入濃度が高いほど,加工面に含有するクロム成分は高くなるが,過度の混入濃度は加工状態を不安定とし,また加工面粗さを悪化させることが分かった.また加工面に含有できるクロム含有量は25%程度が上限であることも明らかとなった.さらに,放電電流値やパルス幅が小さいほうが加工面へのクロム含有率は若干多くなり,加工面粗さは小さくなること,クロム含有層厚さはこれらが大きいほど厚くなる傾向があることが分かった. 次に,クロム含有の加工面深さ方向の変化を調査したところ,表面から数ミクロンまでは一定のクロム成分が含有し,その後深さ方向に徐々にクロム成分含有量は減少していくことが分かった.また, TEM観察等で詳細な検討を行ったところ,クロムは主にFeとの複合炭化物として再凝固層内に緻密な組織で存在するが,一部アモルファス構造となっていることが判明した.以上のことから,加工時に溶融した表面材料にクロム粉末が含有されるとともに加工液由来の熱分解カーボンも含有し,それらが急冷されることで表面層が形成されることにより炭化クロム含有の表面層が形成されるメカニズムが示唆された. さらに,クロム電極やタングステン電極,ならびにWC-C0電極を用いて,これらの成分の加工面への含有の可能性について検討を行ったところ,放電電流値が大きく,パルス幅の短い条件で電極を積極的に消耗させることでも加工面にそれらの成分を含有できることを見出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度初めに1,2か月程度実験が十分に行えない期間があったものの,最終的には本年度実施予定の主な検討事項を概ね実施できているため.
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の研究遂行によって,放電電流やパルス幅などの電気加工条件,加工液のクロム粉末混入濃度がクロム含有表面層の組成や層厚さに及ぼす影響が明らかとなった.また,表面層組織についても調査し,クロム炭化物が生成し含有していることを確認した.さらに,電極材質の加工面への含有を利用したクロム含有層形成も可能であることが判明した.これらの成果を基に,2021年度は主に次の検討項目を実施する. まず,炭化クロム含有層の表面粗さの低減のため,これまでの加工液にクロム粉末に加えたクロム粉末混入加工液に対し,さらに炭素粉末を混入して加工を行う,ハイブリッド粉末混入放電による仕上げ面形成を検討する.クロム粉末と炭素粉末の混入濃度とそれらの比を変化させ,それらがクロム成分の含有と加工面粗さ変化にどのように影響するかを調査する.この時,十分な表面粗さ低減がむつかしい場合は,放電加工条件を変化させ,表面粗さ向上を目的として検討を行う.続いて,表面層の厚さや組成等について分析するとともに深さ方向のクロムや炭素の分布ならびに組織変化についても,粉末混入条件との相関を含めて検討を行う. いっぽう,2020年度検討において,電極材質を加工表面へ含有できることが判明したため,まずクロム電極を用いたクロム含有層形成の後に,タングステン電極や炭化タングステン電極を用いた加工を行い,2層構造の創成を試みる.まず,特に電極消耗の大きい加工条件により,クロムとタングステンそれぞれの成分の加工面への含有量増加を図るとともに,その際の深さ方向の成分の分布も調査する.そして2層構造の創成を試み,その際の深さ方向の分布によって2層構造創成の可否を評価する.
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