2020 Fiscal Year Annual Research Report
Accurate component extraction from X-ray CT data of large assembled objects
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20H02055
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
長井 超慧 東京都立大学, システムデザイン研究科, 准教授 (20586002)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大竹 豊 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (50425617)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | X線CTスキャン / 大型計測物 / アセンブリ品 / 高精度形状処理 / 大規模データ |
Outline of Annual Research Achievements |
【メタルアーチファクトへの対応】 金属部品は多くの製品に含まれるもののX線CT計測においてはアーチファクト(偽像)を生じるといった問題(メタルアーチファクト)があるため、X線CTスキャンの実用化においてメタルアーチファクトへの対応は必須である。そこで本年度は、金属部品を含むアセンブリ品のCTスキャンを想定して、アーチファクト低減技術の研究を行った。異なる条件下において同一計測物を複数回計測し得られたスキャンデータを組み合わせることにより、メタルアーチファクトの低減を達成した。本研究成果は国際会議(ICPE)で発表し、賞を授与された。アーチファクト低減技術では画質の改善に限界があるため、新たにX線透視画像とCADモデルを組合わせた手法の研究開発に着手した。 【CTボリュームとCADデータの位置合わせ】 リバースエンジニアリング等を目的としてX線CTデータを活用するには、アセンブリ品のCTボリューム上で部品ごとに切り分けを行うことが欠かせない。しかし、CTボリューム上で狭小な隙間は判別が難しく、CTボリューム単体での部品切り分けは困難である。そこで、計測物のCADデータを用いた部品り分けを目標に、CADデータとCTボリューム上の物体の位置合わせ法を開発した。一般的に、設計データとそれを基に加工された現物の形状は異なっているため、CADデータとCTボリューム上の物体の表面位置および法線ベクトル・勾配ベクトルを用いた大域的最適化位置合わせ法を提案した。実CTデータを用いて実験を行い、CTボリュームから抽出した表面とCADとの差により位置合わせ精度を評価した結果、ボクセルサイズ以下の精度で位置合わせに成功したことが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【メタルアーチファクトへの対応】 アセンブリ品のCTボリュームの画質向上を目指し、アセンブリ品を含む工業製品の素材として一般的な金属素材によりCTボリューム上に生じるメタルアーチファクト(偽造)低減技術を開発した。異なる条件下において同一計測物を複数回計測し得られたスキャンデータを組み合わせることにより、メタルアーチファクトの低減を達成した。本研究成果は国際会議(ICPE2020, The 18th International Conference on Precision Engineering)で発表し、賞を授与された。また同内容は関連国際論文誌に投稿中である。 前述のアーチファクト低減技術は一定の効果が認められるものの、実験の過程で対応しきれない事例があることが判明し、より高画質なCTボリュームを取得可能とする必要があることが分かった。そこで、改良案として、X線CTスキャンの一次データであるX線透視画像とCADモデルを組合わせる方針を考案した。手法の確立に先立ち、X線透視画像とCADモデルの位置合わせアルゴリズムを開発した。 【CTボリュームとCADデータの位置合わせ】 CADデータと、同製品のCTデータから抽出した表面メッシュに対し、位置合わせする手法を開発した。各表面データの頂点座標と各頂点における法線ベクトルを用い、設計データ(CADデータ)と現物(CTデータ)の差異にも適用できるよう、大域的最適化を行った。実スキャンデータを用いた実験により、CADデータとCTデータ上の形状に差異がある場合にも良好に位置合わせできることが確認された。 感染症の影響のため3Dプリンタの購入に予想以上の時間がかかった。そのため、造形物を用いた検証は2021年度に引き継ぐ。
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Strategy for Future Research Activity |
【メタルアーチファクトへの対応】 本年度提案・発表した手法は計測物が比較的単純な形状であると仮定している。そこで、本課題で想定するアセンブリ品に直接適用可能とするために、より複雑な形状特徴を有している計測物にも対応できるようにアルゴリズムを改善する予定である。 改良案である「X線透視画像とCADモデルの組合わせ」法において、CAD形状を実形状に変形するアルゴリズムが有用であると考えている。そこで、2021年度はこの変形アルゴリズムの開発にも着手する予定である。 【CTボリュームとCADデータの位置合わせ】 精度評価による位置合わせ法の検証を行っていく予定である。そのために、検証用フィンガープリントを設計・3Dプリンタにより造形し、位置合わせ精度の確認を行う。また2020年度の計測物は比較的単純な形状をしていたため、より複雑なアセンブリ品を用いてアルゴリズムの効果の検証を行う。 CTボリューム上の部品境界抽出法の開発も予定している。これには2020年度提案の位置合わせ法を用いて位置合わせしたCADデータとCTボリュームを用いた機械学習が有効であると考えられる。CADデータの部品境界を用いることで、CTボリューム上では観察困難な境界位置を推定できると期待されるためである。そこで、これらを組としたものを学習データとしてCTデータ上の境界を抽出する機械学習システムを構築することを目指す。
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Research Products
(1 results)