2021 Fiscal Year Annual Research Report
Accurate component extraction from X-ray CT data of large assembled objects
Project/Area Number |
20H02055
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
長井 超慧 東京都立大学, システムデザイン研究科, 准教授 (20586002)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大竹 豊 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (50425617)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | X線CTスキャン / 大型計測物 / アセンブリ品 / 高精度形状処理 / 大規模データ |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、●金属を含む計測物の計測条件の特定 ●CTボリュームの高画質化 ●高精度表面抽出法の開発 ●CTボリュームとCADデータの位置合わせ法の確立 ●投影像とCADデータの位置合わせ法およびその誤差の評価手法の研究開発、の5点について重点的に研究を行った。その成果に関し、英文論文誌採択 1編、国際学会発表(査読付き) 3件、国内学会発表 4件による成果報告を行った。
【高精度表面抽出】本課題で扱う計測物は金属部品を含むことを想定しているが、金属部品はX線CTボリューム上でアーチファクト(偽像)を生じ形状抽出の妨げとなる。そこで、アーチファクトが生じにくい計測を行い、CTボリュームを高画質化し、高精度な表面抽出法を用いることで、高精度な計測結果を得ようと考えた。アーチファクトは計測物の姿勢により出現の仕方が異なることが知られており、今回、アーチファクトの少ない姿勢を決定する手法を開発した。また、計測中に部品位置が変わることによるブレの影響を軽減可能な高画質CT再構成法を開発した。さらに、従来法よりも精度・偏差ともに優れた表面抽出法を提案した。
【アセンブリ品への対応】狭小な空隙しか間にない同素材の部品群は、CTボリューム上で同色の連結領域として観察される。そのようなデータから、部品ごとに表面を抽出することが狙いである。部品形状を知るために、アセンブリ品のCADデータを手がかりとする。それにはCADデータとCT計測データの部品の位置を合わせることが必要であるが、その方法は自明ではない。また、現物はCADデータと形状が異なることがある。そこで、CTボリュームとCADデータの位置合わせ法、CTボリュームを生成する前の一次計測データである投影像とCADデータの位置合わせ法および位置合わせ誤差の評価手法の研究開発を行い、ボクセル精度を上回る精度での位置合わせを実現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、申請当初における計画のうち2021年度に行うべき A) CTの計測条件特定 B) CADデータと計測データの位置合わせ法の確立 C) 部品の表面抽出法の確立、の3点を遂行した。課題全体としては、感染症による影響で計測・実験環境へのアクセスに制限が生じているものの、研究の遂行・成果発表とも順調に進んでいる。 A)は金属部品を含む計測物について、金属によるアーチファクトを最小とする計測時の姿勢を算出する手法を提案・中型計測物について実験により検証し、成果を英文論文1編により発表した。当初計画では大型計測物を対象に実験を行う予定であったが、感染症の影響により、大型計測可能なCT装置の利用は行わなかった。ただし、提案法は一般的な大型CT装置の機構にも適用可能であるため、大型計測物に対しても本手法は有効である。 B)2020年度の研究結果に基づいた拡張と、CTボリュームの代わりに一次計測データである投影像を用いることで部品の局所的変形にも対応可能とする手法および誤差の評価手法を開発した。複数のアプローチで課題に取り組むことができ、検証法も開発できた。本項目は極めて順調に進んだといえる。 C) 高精度表面抽出法の開発と検証を行い、計測物の計測中の動きに対するボケの緩和法も提案することができた。特に表面抽出法については従来法を上回る結果を示せており、本項目も順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに開発を行った手法の改良のほか、提案法の性能評価および成果発表を行い、プロジェクトの総括とする。 【手法改良】高い精度と高速・省メモリな表面抽出処理の両立を目指し、以下の①・②の課題に取り組む。 <① CTボリューム上でのアセンブリ品の境界定義の改善、高精度表面抽出法の確立>2020年度に提案したCTデータ上の物体とCADデータの位置合わせによる「部品の境界定義法」は、目標精度は達成したものの、計算時間の短縮が課題として残されていた。そこで本年度は、形状の特徴をよく表す特徴点を算出し、位置合わせに特徴点のみ用いることで、精度を保ちつつ計算量を削減することを目指す。 <② CTデータからの高速表面抽出法の確立・省メモリな形状抽出法の確立> 前年度までに開発した各手法の高速化を行うために、GPU並列計算をはじめとした計算機技術を導入し、CT再構成時に必要な透過長の計算を効率的に行う。さらに、本プロジェクトの課題の一つであるデータ量削減のため、適応的データ構造を導入する。また、これらの適応的ボリュームデータから物体形状を抽出した際、その抽出形状も適応的表面メッシュ等で表現することで、一層のデータ削減を図る。 【性能評価】<精度> 精度検証用器物を対象として、本プロジェクトで開発した表面抽出法による抽出表面と従来法による表面の真値からの偏差を比較する。 <計算速度> 解像度の異なる複数のデータに対して提案法を実行し、計算時間の推移を解析する。 <データ量> 提案法と従来法で同程度の精度を実現するのに必要なデータ量を比較する。 【成果発表】成果を論文にまとめ、国際学会または英文論文誌等に投稿する。学会において研究動向の最新情報を収集し、また同分野の研究者と意見交換を行うことで、本テーマへの関心・需要に関する動向を把握し、本課題の成果を発展させるべき方向を定める。
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Research Products
(8 results)