2020 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of tribological mechanisms of graphene oxide and MoDTC by the SEM friction interface observation method
Project/Area Number |
20H02057
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
木之下 博 兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (50362760)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 直浩 兵庫県立大学, 工学研究科, 助教 (80843987)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 摩擦界面観察 / 走査電子顕微鏡 / 潤滑油 / 酸化グラフェン / 添加剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
摩擦・摩耗は接触,せん断する2つの平面間,摩擦界面で生じる様々な現象に起因するが,これらは刻一刻と動的に変化するサブミクロンオーダーの現象である.特に潤滑液体中のナノ材料および添加剤による摩擦現象は,多数の要因が絡み複雑を極める.だが,非常に多くの関連論文が報告されているが,未明な部分が数多く残されている.基本的な実験手法の1つであるミクロなその場観察手段が無いことが大きな原因である.そのような中で,2019年春に申請者らは電子透過膜とマイクロ摩擦試験機を用い,走査電子顕微鏡(SEM)で摩擦界面を観察する装置を世界に先駆けて実現した.本研究では開発した装置の摩擦環境制御を可能とし,酸化グラフェン分散潤滑油,さらにモリブデンジチオカーバメート(MoDTC)分散油の境界潤滑での摩擦界面をその場観察し,ブラックボックスと言えるこれらの潤滑メカニズムの解明を目指す. 本年度は,SEM内設置マイクロトライボメーターの改良として,これまでのAFMと同じ荷重・摩擦力測定システムである光てことカンチレバーを用いたものから,ダブルばねとひずみゲージを用いたシステムに変更した.これによって大幅に装置の調整時間の短縮につながった.またSEMの低真空モードを用いることによって真空対応でない普通の潤滑油でも摩擦界面の観察が可能であることを明らかにした.さらにMoDTC添加潤滑油について低温・低荷重でトライボフィルムが形成できないか,大気中で光学顕微鏡を使った摩擦界面観察で摩擦条件を見出している.また対比のため数N荷重での摩擦の光学顕微鏡での摩擦界面観察も行っており,その結果孤立した酸化グラフェンよりも凝集したものの方が摩擦低減効果が高いことが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SEM内設置マイクロトライボメーターの改良:本研究ではマイクロトライボメータをSEM観察室内で別の真空容器に封入し,その容器内で摩擦実験をする予定であった.しかしながら使用するSEMは低真空観察が可能なタイプであり,低真空モードで観察することにより潤滑油としてポリアルファオレフィン(PAO)を用いた場合は問題なく観察できた.さらに微小な荷重を検出するために光てことカンチレバーという原子間力顕微鏡と同様なシステムを用いていたが,光路が複雑でしかも安定性かけセッティングも容易でなかった.検討の結果,電子透過膜の厚さを200nm以上のものを用いると,荷重が1mNでも電子透過膜が摩擦で破壊されないことが今年度の研究で明らかになった.それゆえ,ダブルバネとそのひずみを測定するひずみゲージを用いて荷重測定を行うために改良した.そうすると上記の光てことカンチレバーでの問題が解決し,今後はこのシステムで研究を進める.
酸化グラフェンの摩擦界面への侵入挙動:対比のため数N荷重での摩擦の光学顕微鏡での摩擦界面観察も行っており,その結果孤立した酸化グラフェンよりも凝集したものの方が摩擦低減効果が高いことが明らかとなった. マイクロ荷重・室温でのMoDTC分散潤滑油を用いたトライボフィルム形成:MoDTC分散潤滑油でトライボフィルムを形成するためには化学反応を促進させるために高面圧と高温が必要である.しかし本トライボメーターでは電子透過膜が薄く荷重が数mNに制限されること,また真空加熱で潤滑油が真空中で蒸発する恐れがあり,室温で摩擦実験を行う必要がある.そこで,大気中で光学顕微鏡を用いたin-situ界面観察で,数mNかつ室温でトライボが形成される条件をまず見出す.このための装置は研究室内にあり,実験を進めている.ボール材料や摩擦速さを変化させてトライボフィルム形成を進めているところである.
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Strategy for Future Research Activity |
孤立した酸化グラフェンおよびその凝集体の摩擦界面への侵入挙動および酸化グラフェン凝集体の厚さと摩擦係数との関係の解明:当初は孤立した1つの酸化グラフェンの摩擦界面への侵入挙動の解明を目指していたが,数N荷重のマクロな摩擦試験の結果から凝集した酸化グラフェンが低摩擦に寄与していることが明らかとなった.そのため孤立した酸化グラフェンおよび凝集した酸化グラフェンについて摩擦界面への侵入挙動及び,厚さと摩擦係数関係を明らかにする. マイクロ荷重・室温でのMoDTC分散潤滑油を用いたトライボフィルム形成:これについは先に述べたように大気中で光学顕微鏡を用いたin-situ界面観察で,数mNかつ室温でトライボが形成される条件をまず見出す.特にボール材料や摩擦速さを変化させてトライボフィルムが形成されるかを見出す.条件がされ次第,SEMの中でin-situで摩擦実験を行う.
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Research Products
(2 results)