2021 Fiscal Year Annual Research Report
Estimation of Scalar Source in Turbulent Environment by Using Moving Sensors
Project/Area Number |
20H02063
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長谷川 洋介 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (30396783)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 乱流 / スカラー源推定 / 移動ロボット群 |
Outline of Annual Research Achievements |
乱流環境中において、限られた計測データに基づき、スカラー源とそれに伴って拡散するスカラー濃度分布を予測するためのアルゴリズム、および実証実験システムの構築を行った。まず、スカラーの輸送方程式を陽に考慮した深層学習を用いて、スカラー源を推定する手法を構築し、ニューラルネットワークに含まれる様々なハイパーパラメータの影響を明らかにするとともに、損失関数の各項に自動的に重みづけを行うアルゴリズムを開発し、その有効性を示した。上記のスカラー源探索アルゴリズムに能動学習を組み合わせることにより、センサが自動的に次の計測位置を決定し、推定結果を更新する手法を提案した。これにより、初期のセンサ配置では推定が困難なスカラー源に対しても、センサが逐次移動することによって、正確なスカラー源推定を行えることを示した。さらに、上記のアルゴリズムを複数のスカラー源が存在するケースへ適用したところ、センサが一つ目のスカラー源を特定した後、二つ目のスカラー源の探索に自動的に切り替わり、最終的に全てのスカラー源を推定できることを確認した。 上記のアルゴリズムと並行して、スカラー輸送方程式を考慮したガウス過程と深層カーネルを組み合わせた、新しいスカラー源推定アルゴリズムを提案した。本手法の特徴は、スカラー濃度分布とスカラー源の推定を行うだけでなく、その不確かさまでも算出する点である。これにより、推定が最も不確かな場所に新しいセンサを逐次配置することによって、センサ配置の最適化アルゴリズムを提案し、その有効性を確認した。 実験装置については、縦2m、横3mの大型風洞において、スカラー源推定に必要となる速度場を計測するためのPIVシステムを構築し、計測された速度と熱線流速計で別途計測した速度を比較し、両者に良好な一致が得られたことから、計測システムの妥当性の確認を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スカラー源を推定するためのアルゴリズムの開発はほぼ完了し、数値計算において複数の流動場において、スカラー源探索が可能であることを確認することができている。異なるスカラー源推定のアルゴリズムを新たに開発したが、いずれの手法に関しても室内実験においてリアルタイムでの推定が可能となる程度の計算負荷で高い推定性能が確認できていることから、実用性についても申し分ない。一方、実験については、濃度場と速度場の計測のいずれにおいても、高い再現性が確認されており、比較的単純な流れ場における予備実験では、既存のスカラー源推定のアルゴリズムに比べて、本研究で開発したアルゴリズムの方がより早く、効率的にスカラー源の推定が行えるという結果も得られており、実証の目処も付いていることから、順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、これまでに構築したアルゴリズムを室内実験に適用し、十分な回数の試行を行うことによって、本研究で開発したアルゴリズムが既存のアルゴリズムに対して、有意な優位性があることを示すことが大きな目的となる。その一方で、流れ場が複雑になると、推定やセンサ配置最適化に必要となる計算負荷も増加する傾向があるため、より一層のアルゴリズムの精緻化、高効率化を進める予定である。
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Research Products
(8 results)