2020 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ表面修飾によるカーボンナノチューブ伝導特性の高機能化
Project/Area Number |
20H02079
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
千足 昇平 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (50434022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 高志 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任准教授 (10548522)
志賀 拓麿 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (10730088)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | カーボンナノチューブ / 電気伝導 / 熱伝導 / 表面修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
単層カーボンナノチューブ(単層CNT)の表面修飾技術として,単層CNTの外周に六方窒化ホウ素ナノチューブ(BN-NT)や別の単層CNTの直接合成を行った.それぞれ,単層CNT内包@BN-NT構造や二層CNT構造を得ることができ,内層となる単層CNTの物性を制御することが可能になる.ここでは,ラマン散乱分光法を用いて,内層の単層CNTを分析したところ,単層CNTに固有のラマンピーク(G-band)がダウンシフトすることが明らかになった.特に二層CNTにおけるダウンシフトのメカニズムはまだ未解明であるが,外層と内層間に生じた歪みが原因だと考えられる. また,単層CNTの電荷密度の制御を目的とし,イオン液体による電圧印加実験を行った.単層CNT薄膜をイオン液体に浸し,電圧を印加することで単層CNT表面にイオンによる電気二重層を形成することができる.これを用いて単層CNT表面に非常に大きな電場を発生し,単層CNTに電荷注入を行うことが可能になる.単層CNTの電荷密度を制御することで,その電気伝導率を自由に制御することを確認することに成功した.同時に,大気中におかれた単層CNTには水分子が吸着していることが分光法により明らかになり,その水分子が単層CNTに対し正孔を供給していることも明らかにすることができた.このように,単層CNTはその表面を通じて外部から物性を制御できることを示すことができた.また計算においては,複数の単層CNTが束構造(バンドル構造)を形成することで,お互いの相互作用により物性が変調してしまうことが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
単層CNTの物性計測,その環境効果の解明に必要不可欠な環境制御型チャンバーの設計・製作が当初予定していた以上に順調に早く実現し,2020年度中に本格的な計測を開始することができた.また,まだ詳細な分析までには至っていないが二層CNT合成も実現している.以上より,本研究課題は当初の計画以上に順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
単層CNTの表面修飾技術としての外層合成技術をさらに向上させていく.より欠陥構造が少なく,広範囲(軸方向に長尺)な外層(BN-NTや単層CNT)形成を実現すると同時に,光学分光法を用いた解析手法の開発も進める.ラマン散乱分光法に加え,レイリー散乱分光法や蛍光発光分光法を組み合わせ,多角的な分析を行うことで,より詳細なナノスケールでの構造解析手法を開発していく.また,孤立した単層CNTに対し,電気伝導特性だけでなく,熱伝導特性の計測も行うのと同時に,これらの輸送特性において実験と計算とを比較・分析を行う.ここで得られる知見をもとに,単層CNTの応用に欠かすことのできない目的に応じた物性制御技術の確立を目指していく.
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Research Products
(12 results)