2021 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ表面修飾によるカーボンナノチューブ伝導特性の高機能化
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20H02079
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
千足 昇平 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (50434022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
児玉 高志 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任准教授 (10548522)
志賀 拓麿 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (10730088)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | カーボンナノチューブ / 電気伝導 / 熱伝導 / 表面修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
単層カーボンナノチューブ(SWCNT)の電気伝導特性の制御技術の確立を目指し,低密度のSWCNT薄膜に対してイオン液体によるゲーティングを行った.この低密度のSWCNT薄膜は10本程度のSWCNTが束(バンドル構造)になり,ネットワーク構造を形成している.イオン液体に浸されたバンドルSWCNTは,イオン液体に印加された電圧により電荷が誘起される.特に半導体性SWCNTに対しては,十分なドーピングがなされると金属的な伝導を示すことになる.このSWCNT薄膜に対して,イオン電極によるドーピング,温度,磁場等を制御しながらその電気伝導特性の分析を行った.結果,ドーピングによって大きく抵抗値が変化すること,その温度依存性から,SWCNT薄膜がホッピング伝導の特徴を有することが明らかになった.一般に用いられる可変ホッピング伝導(VRH)モデルに基づき解析を行ったところ,数100nm程度のホッピング長であること,このホッピング長はSWCNT長さ(約10μm)より短いことが分かった.電気伝導と同様に,バンドル構造を有したSWCNTの熱伝導も低下することを明らかにした.さらに,数値計算を用いて,バンドル化したSWCNTのネットワーク構造の電気伝導についても解析を行った. SWCNTバンドル構造において,電子のホッピングを誘起するような電子輸送における障壁や電子の局在化が生じていることが推測され,孤立した金属性SWCNTの電気抵抗率に比べ,バンドル化したSWCNTの電気抵抗率は1~2桁大きくなる一因と考えられる.今回バンドルにおける抵抗増大の要因が明らかになったことを踏まえ,バンドルSWCNTの低電気伝導化技術への展開が期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りSWCNTの電気伝導特性に対する,イオン液体によるゲーティング効果を明らかにできただけでなく,同時に温度依存性や磁場依存性など,詳細な電気伝導特性の分析を実施し,電荷密度,温度,磁場依存性を多角的に解析することで,不明な点の多いSWCNTの電気伝導特性を解明できる可能性がある.
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Strategy for Future Research Activity |
SWCNTへの表面修飾としての六方窒化ホウ素層の形成に加え,分子吸着(イオン液体,水分子など)効果の検証を進めて行く.さらに,SWCNTの内部空間への分子ドーピング(内包)や,内包後に開端部を閉じる分子・原子の閉じ込め技術・分析技術の開発を行う.SWCNT内部に分子を閉空間に閉じ込める技術によって,SWCNTのナノカプセル応用やその内部での特殊な化学反応の実現などを目指していく.
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Research Products
(21 results)