2021 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis and control of bubble generation in nanopores
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20H02081
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大宮司 啓文 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (10302754)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徐 偉倫 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 講師 (50771549)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ナノバブル / ナノ細孔 / 気泡核生成 / 沸騰 / マイクロ冷却デバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ナノ細孔を加熱することによりナノ気泡を発生させる系を用いて、単一気泡の均一核生成、不均一核生成など気泡核生成条件の評価、および単一気泡から、気泡クラスター、ミクロ・マクロスケールの沸騰現象へ至る気泡成長過程の解明を目的とする。理想的な単一気泡の均一核生成がどこで崩れ、不均一核生成が発生するか、単一気泡から、気泡クラスター、さらにはミクロ・マクロスケールの沸騰現象へどのように繋がっていくかという学術的な問いに対して、(1)ナノ細孔内部の気泡核生成の解析と制御、および(2)気泡核からナノ・マイクロ気泡への成長過程の解析と制御の2つの課題に取り組む。本年度はナノ細孔内部の気泡の挙動に関して、ハイドロフォーンによる音場計測と電気化学計測の同時計測の手法を確立した。この同時計測手法を利用することにより、気泡サイズのみならず、気泡の動的挙動を直接に理解することが可能になり、今後、ナノ細孔内部の沸騰現象に関する様々な現象の解明が進むと思われる。また、計測信号を解析することにより、核沸騰だけでなく、膜沸騰(ナノ細孔の内壁に蒸気膜が形成)、遷移沸騰などの様々な沸騰の様式を捉えることができることを見出した。さらに、計測信号は細孔径、印加電圧などによって特徴的に変化することを見出した。これらの結果は、ナノ細孔内部の沸騰現象が非常に複雑であり、サブマイクロメートル、サブマイクロ秒のスケールで既に多様な沸騰様式が表れることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は、ナノ細孔内部においてジュール加熱による水の沸騰実験を行うと、細孔中央付近で理想的な単一気泡の均一核生成が見られるという先行研究があり、その再現を目標としていた。昨年度までに、単一気泡の均一核生成と不均一核生成の信号を電気化学計測から捉えることができた。本年度、さらに、細孔径、印加電圧などのパラメータを大きく変化させると、核沸騰だけでなく、膜沸騰、遷移沸騰など、様々な沸騰様式を示唆する信号を捉えることができた。これらの研究成果はサブマイクロメートル、サブマイクロ秒のスケールで既に多様な沸騰様式が表れることを示している。当初は、ナノ細孔から放出される気泡は規則的であり、放出後の気泡の合体、成長過程がマクロな沸騰現象を複雑なものにしていると予想していたが、ナノ細孔内部の沸騰現象が既に複雑であることを見出した。これば、当初予期していない研究成果であり、本研究が当初の計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までの研究成果を踏まえて、ナノ細孔内部の沸騰現象について、さらに実験的研究、理論的研究を行い、ナノ空間の沸騰曲線を描くことに取り組む。マクロな系の沸騰曲線との違いを明らかにすることにより、ナノ空間の沸騰の特徴を明らかにする。また、本研究においては、ナノバブルエミッターのような応用デバイスを考案することも目標の一つである。当初は、ナノ細孔内部の沸騰現象は規則的であり、ナノ細孔から放出後の気泡の合体、成長過程を明らかにすることが、このような応用デバイスの設計において重要であると考えていた。しかし、本年度までの研究成果により、極めて限られた条件においてのみ、規則的な気泡が放出されることを見出した。したがって、ナノ細孔内部で核沸騰が起こる条件を明らかにすることが、ナノバブルエミッターの重要な設計指針になると言える。まとめると、当初は(1)ナノ細孔内部の気泡核生成の解析と制御、および(2)気泡核からナノ・マイクロ気泡への成長過程の解析と制御の2つの課題に取り組む予定であったが、今後はナノ細孔内部の沸騰現象(核沸騰、膜沸騰、遷移沸騰)の解析と制御という課題に対して研究を推進する予定である。
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Research Products
(3 results)