2020 Fiscal Year Annual Research Report
スナップモータ:撃力インタラクションによる小型軽量アクチュエーション基盤の創成
Project/Area Number |
20H02106
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
望山 洋 筑波大学, システム情報系, 教授 (40303333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 友之 筑波大学, システム情報系, 助教 (50424825)
矢木 啓介 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 助教 (90802710)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アクチュエータ / 撃力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,フィジカル空間に有効に働きかける小型・軽量の新しいアクチュエーション基盤技術を確立し,超スマート社会の実現に貢献することである.この目的に対し,本研究では,既存の電磁モータと最新のソフトロボティクスを融合させた“スナップモータ”によるアクチュエータ基盤技術の確立を目指す.スナップモータは,撃力によりフィジカル空間に働きかけるアクチュエーション技術である.具体的には,弾性ロッド,電磁モータ,フレームの3つの構成要素のシンプルなループ構造であり,弾性ロッドに飛び移り座屈を生じさせることで俊敏動作を得て,撃力を生む.本研究では,基礎から応用に亘る,4つの課題(①スナップモータの設計論の構築,②スナップモータによる撃力が生体組織内部に与える影響の調査,③スナップモータの流体を搬送するパルスポンプへの応用可能性の検討,④打音検査用アクチュエータとしての応用可能性)に取り組んでいる. 今年度の主な研究成果は,以下の2つである. 1つ目の成果は,課題②において,スナップポンプと名付けたプロトタイプの開発に成功したことである.この研究成果は,ロボティクスの世界トップレベルのレター誌であるIEEE Robotics and Automation Lettersに採択・掲載され,既に公表されている. 2つ目の成果は,課題④において,スナップモータを利用した小型・軽量の打音装置のプロトタイプの開発に成功したことである.このプロトタイプについては,現在,ドローンへの搭載の準備を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載した通り,課題②については,スナップポンプと名付けた拍動ポンプ,課題④については,スナップモータを利用した小型・軽量の打音装置のプロトタイプの開発に成功した.また,課題①に関しては,いくつかの典型的なスナップモータについて,その弾性体を介して放出されるエネルギーの推定や,エネルギー効率の計測を行っており,スナップモータの性能と設計パラメータとの関係が明らかにされつつある状況である.一方,課題③に関しては,扱いに慣れていない生体材料を扱うことから,やや実験の準備に時間を要している. 以上のことから,研究全体としては,おおむね順調に進展していると判断される.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,基礎から応用に亘る4つの課題①~④に対して,それぞれ以下のような推進方策を講じる.まず,課題①の「スナップモータの設計論の構築」に関しては,スナップモータの撃力性能の計測技術を確立することが重要である.この計測技術に基づき,スナップモータの仕様を定めた上で,その設計論について調査する.課題②の「スナップモータによる撃力が生体組織内部に与える影響の調査」については,本年度も昨年度に引き続き,生きていない状態の動物の身体を用いて,スナップモータの撃力が生体組織内部にどのような力学的な作用をもたらすかを計測する方法を検討する.課題③の「スナップモータの流体を搬送するパルスポンプへの応用可能性の検討」については,開発したスナップポンプの性能を高めるとともに,スナップポンプによる遊泳機構を検討する.課題④の「打音検査用アクチュエータとしての応用可能性」については,開発した打音検査用スナップモータをドローンに搭載し,そのフィージビリティを調査する.
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