2021 Fiscal Year Annual Research Report
A study on the algorithms for accelerating human motor learning under human-robot cooperative motor learning system
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20H02111
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
近藤 敏之 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60323820)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 協調運動学習 / VR |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度までに開発した協調運動学習実験システムを用いた被験者実験を実施した。右利きの成人男性24名を被験者としてリクルートし、8名ずつ3群に分け、それぞれ異なる戦略をプログラムされたロボットエージェントとの協調運動学習実験を行った。3種類のロボットエージェントは、それぞれ、高速に最適な運動支援を行うExpertエージェント、低速かつ時にランダムな運動支援を行うNoviceエージェント、学習者の運動成績の向上に併せて戦略を段階的にNoviceからExpertに変更するSkillレベル調節エージェントとした。実験の結果、Noviceエージェントと組んで協調運動学習課題を経験した被験者は、Expertエージェントと組んで課題を経験した被験者よりも評価フェーズの最初から運動成績が有意に高いことを示唆する結果となった。さらに、Skillレベル調節エージェントと組んだ被験者は、Noviceエージェントと組んだ被験者よりも、さらに良い運動成績を示すことが明らかとなった。 また、前年度に引き続き、没入型VRの運動学習への適用性を調査するための実験として、VR環境下で仮想的に身体改変を行うことが行動選択に及ぼす影響を調査する実験を行った。被験者前方の半径20cmの円周上にターゲットを表示し、被験者には左右いずれかの利用しやすい腕を選択して到達把持させた。この使用手選択の到達運動実験を脳卒中患者のリハビリテーションに見立てるため、被験者の利き手である右手の手首に1 kgのリストウェイトを装着し、前年度と同様に、仮想上肢の運動を拡大提示することがターゲット方向ごとの右手の使用確率に及ぼす影響を調べた。その結果、手首におもりが付いて動かしにくくなった仮想麻痺肢である右手の使用頻度が、視覚拡大介入により改善できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた、「ヒトとヒトの二者協調運動学習実験」(Nishimura et al, 2021)の結果に基づき、ヒトと人工エージェントの協調運動学習実験を実施することができている。加えて、運動学習を促進する人工エージェントについて様々な支援アルゴリズムを検討した結果、段階的に支援レベルを向上させるSkillレベル調節エージェントが有効である可能性を示唆する結果が得られている。以上より、本研究は順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、協調運動学習による学習効果が高い結果となったSkillレベル調節エージェントのレベル調節スケジュールと学習成績向上の関係について実験的に明らかにする。また、近赤外分光分析法を用いて、協調運動学習中の学習者の脳活動計測からハイパースキャニングを試みる予定である。計測された多チャネル時系列信号に対し、時間周波数解析を行うとともに、コヒーレンス解析を行うことで、二者の協調行動と脳活動の関連を調査し、その特徴を明らかにすることを試みる。
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